大谷翔平の争奪戦はもう始まっている。相場はMLB最高額の5億ドル超え。有力球団は5チームか (4ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【ドジャーズ有利の声も...】

 対して、今オフにドジャースが交わした契約は、どれも2000万ドル(約26億円)を超えていない。まるで、大谷との契約に備えているかのようだ。

 来オフは、フリオ・ウリアス(17勝7敗・防御率2.16)、クレイトン・カーショウ(12勝3敗・防御率2.28)、ノア・シンダーガード(10勝10敗・防御率3.94)の3投手がFAになる。レッドソックスから獲得したDHのJ.D.マルティネス(打率.274・16本塁打・62打点)も1年契約だ。本拠地がエンゼルスと最も近い点も、大谷にアピールする材料になるかもしれない。

 パドレスからも、ダルビッシュ有(16勝8敗・防御率3.10)とブレイク・スネル(8勝10敗・防御率3.38)の両投手がFAになる。だが、こちらは単純にはいかない。大谷を迎え入れるか、2024年のオフにFAのソトを引き留めるかの二者択一になりそうだ。

 また、そこにマニー・マチャド(打率.298・32本塁打・102打点)が来オフに契約を打ち切り、FA市場に出るかどうかも絡んでくる。マチャドは今年が10年3億ドル(約332億円・当時)の5年目だ。

 2021年かぎりでバスター・ポージーが引退したジャイアンツは、新たなチームの顔となるスーパースターを求めているように見える。今オフは地元出身のジャッジに9年3億6000万ドル(約472億円)の契約を申し出て断られ、その後、カルロス・コレア(打率.291・22本塁打・64打点/ミネソタ・ツインズ)と13年3億5000万ドル(約459億円)の契約で合意に達したが、右足首の状態に懸念を示した結果、入団には至らなかった。

 こうして見てくると、ドジャースがやや有力な気もする。けれども、名乗りを上げる球団は今後、ほかにも出てくるはずだ。まだ、予断は許さない。

 投打どちらも「超一流の二刀流」という、唯一無二の存在である大谷翔平を巡り、史上空前の争奪戦が繰り広げられるに違いない。

プロフィール

  • 宇根夏樹

    宇根夏樹 (うね・なつき)

    ベースボール・ライター。1968年8月14日生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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