大谷翔平に背中を押され同級生がメジャー挑戦。「本気の言葉をくれた」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ishida Yuta

菊池雄星、大谷翔平を追って〜小原大樹、25歳の挑戦(前編)

 2月末のアリゾナ州ピオリア、朝8時。

 見慣れないユニフォームを着た日本人選手が、マリナーズのグラウンドでアップを行なっている。このあと、マリナーズの編成担当者やスカウトの前で入団テストを受けることになっていた。

 テストを受けるのは、小原大樹。

花巻東で大谷翔平と同級生だった小原大樹花巻東で大谷翔平と同級生だった小原大樹 花巻東では菊池雄星の3つ下で、大谷翔平の同級生だった、25歳、サイドハンドの左ピッチャーだ。

「ずっとオーバースローだったんですけど、ちょうど1年前、社会人で3年目を迎えるにあたって、プロを目指すうえでどういうところに需要があるのかを考えたら、左バッターを抑えるピッチャーが必要になるんじゃないかと、腕を下ろしました。もちろん怖さはあったんですけど、もう、やるしかないと思って、覚悟を決めたんです」

 入れ替わりで小原とは重なっていないものの、高校の後輩というのはかくも可愛いものなのか。マリナーズの菊池は、花巻東の後輩がテストを受けるブルペンに顔を出して、ほどなくクラブハウスへと踵を返した。

「もちろん気になりますよ。気になりますけど、でも、僕に見られていたらやりにくいでしょうからね」

 じつは小原は年明け、先輩の菊池の自主トレに合流してトレーニングに励んできた。菊池だけでなく、西武の高橋光成、平良海馬ら150キロを当たり前のように投げるピッチャーに接して、小原はこんなことを感じたのだという。

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