2020.03.18

大谷翔平の同級生、小原大樹は言い切った。
アメリカに「生きる場所がある」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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菊池雄星、大谷翔平を追って〜小原大樹、25歳の挑戦(後編)

 マリナーズの編成担当者、環太平洋担当のスカウトら4人が、ブルペンで投げる小原大樹()を見つめる。 投捕間にはラプソードが設置されていて、一球ごとに球速やボールの回転数、回転軸、リリースポイントや変化量などを測定している。

※小原は花巻東時代に大谷翔平の2番手として活躍し、甲子園にも出場した。その後、慶應義塾大に進み、社会人野球の日本製紙石巻でも活躍。昨年、メジャー挑戦を夢見て退社し、メジャーキャンプ地でテストを受けていた

昨年、日本製紙石巻を退社し、メジャー挑戦を決意した小原大樹 こうしたテストの場合、10年前なら85マイルでも左ピッチャーは可能性を模索してもらえたのだが、今の合格ラインは「95マイル」とされている。この日の小原の記録したスピードはそこに遠く及ばず、マックスで87マイル。プロを目指すと決めた時から腕を下げ、サイドからコーナーを丹念に突くワンポイントの左ピッチャーとして生き残ろうとしてきた小原には、95マイルのハードルはあまりに高すぎた。しかも逆風はそれだけではなかった。マリナーズのスカウトがこう話す。

「メジャーは今年からワンポイントが禁止(試合時間短縮のため、ピッチャーには3人のバッターとの対戦、もしくはイニング終了までの登板が義務づけられ、左キラーといった一人一殺の継投ができなくなる)になるから、(小原)ダイキのような左ピッチャーのニーズは少なくなります。それからもうひとつ、メジャーの野球は今、急激に変わっていて、それもまたダイキのようなタイプには厳しい状況を生んでしまっています」

 メジャーの野球を急速に変えたのは、AIの導入だ。ロボット審判はまだ試験段階でメジャーの試合には取り入れられていないが、審判に対してはとっくにストライクゾーンは正確に測定され、ニューヨークにあるMLB本部での審判の評価に使用されている。