大谷翔平の成績で特筆すべきこと。30本塁打30盗塁の夢が見えていた (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ただ、その後方にはアルバート・プホルスという偉大なスラッガーが控えているので、大谷選手は出塁できたとしても、そのあと盗塁しづらいチーム状況があります。また、来シーズンから二刀流を復活させるために、ケガのリスクがあるプレーも控えさせるでしょう。

 それでも、期待してしまいます。なぜならば、大谷選手には「30-30」を達成できる才能が十分に備わっているからです。

 かつて「30-30」という大記録は、オールラウンドプレーヤーの勲章でした。アスリートタイプの選手は、誰もが目指した大台だったのです。しかし、近年のフライボール革命によって、スピード=盗塁というものが重んじられなくなりました。

 実際、2013年から2017年まで、この5年間はひとりも「30-30」は誕生しませんでした。2018年は2名、そして今年もブレーブスのロベルト・アクーニャとミルウォーキー・ブルワーズのクリスチャン・イエリッチが達成しましたが、昔に比べると非常に少ない。

 そんな風潮のなか、3番バッターとしてふたケタ本塁打&ふたケタ盗塁を記録している事実は、特筆すべきことだと思います。パワーとスピードのバランスに秀でた大谷翔平というプレーヤーは、近年のメジャーリーグで特異な存在です。二刀流での活躍も楽しみですが、大谷選手が「30-30」を目指すというのも、また夢のある話ではないでしょうか。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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