2018.05.16

大谷翔平とイチローに通じる、
いつまでも「野球の研究者」でいること

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by AFLO

 シアトル・マリナーズのイチローが、本拠地・セーフコフィールドで会見を開いたのは5月3日(日本時間4日)のことだった。今シーズンの残り試合には出場せず、球団の会長付特別補佐に就任することを明かした。その席でイチローはこう話した。

「僕は野球の研究者でいたい」

 自分がアスリートとしてこの先どうなっていくか、毎日鍛錬を重ねていくことでどうなれるのかということを見てみたい、と。

直接対決は実現しなかったが、試合前に談笑するイチロー(写真左)と大谷翔平 型にこだわらず、常に新しいことに挑戦し続け、日米通算4367安打を積み重ねたイチローらしい言動だと思った。同時に、その思考と姿勢は、メジャー1年目から投打で活躍を見せるロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平にも通じるものがあると感じた。

 渡米前、大谷はこう語っていた。

「野球をやっているからには”テッペン”を目指したいんです。すごいレベルの高いところで野球をやってみたいと思っていて、まずはプロ野球選手になりたいと思ってそこに近づいていったら、さらにその上でやってみたいと……。僕はいろんなことにチャレンジしていきたいんです」

 23歳で海を渡る決断をしたときも「今、アメリカに行きたい」「今、メジャーでやってみたい」と、その純粋な思いに突き動かされた。また大谷はこうも言う。

「常に変化していきたい」

 環境が変わってしまうことに不安を覚え、変化した先にある失敗を恐れてしまうのが人の常だ。新しいことに挑むには、それ相応の勇気もいるだろう。思考の大半を不安に支配されてしまえば、新たな道を踏み出す決断は容易なことではない。

 ただ大谷には、その不安をも消し去る圧倒的な”向上心”と、野球の技術を究めるための強い”好奇心”がある。メジャー挑戦を控えた昨年、大谷はこんな話もしていた。

「実際にメジャーでプレーをしていないわけですから……大崩れするような可能性を持って(メジャーへ)行くわけなので、それは不安ですよね。チームを選ぶことに不安がありましたし、まったく違う環境に行くということは、どの分野でも不安なことが多いと思います。でも、さらによくなる可能性があったら、僕はチャレンジしてみたい。『やってみたいな』と思うタイプの人間なので」