ヤンキース脱落にみる大谷翔平の志向から「地味な2球団」が本命に浮上 (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 大谷側は、早ければ日本時間12月5日から、滞在中のロサンゼルスで"最終候補"のチームとの面談を開始するという。米国内の報道によると、残ったのはマリナーズ、エンゼルス、ドジャース、ジャイアンツ、パドレス、レンジャーズ、カブス。大半がアメリカ西海岸の球団であり、必ずしも来季に優勝が狙えそうな強豪ばかりではない。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは「"西海岸"と"小規模チーム"が今回の争奪戦のキーワードだった」と話しており、ここに大谷のプライオリティが見えてくる。

 その2つに見事に合致する球団は、マリナーズとパドレスだ。過去にイチロー、佐々木主浩、城島健司、岩隈久志らが活躍したマリナーズは、もともと日本人選手と関係が深く、受け入れ態勢は整っている。一方、パドレスが本拠地を置くサンディエゴは、西海岸の中でも環境がいいことに定評があり、野茂英雄氏や斎藤隆氏、日本ハム時代のトレーナーなどがスタッフにいるのも売りになるに違いない。

 この両チームでなら、ヤンキースやレッドソックスのように1年目からの成功を求められるプレッシャーに晒されることはないだろう。ニューヨーク・デイリーニューズ紙は、大谷獲得レースからヤンキースが脱落した直後に、「大谷は大都市を恐れている」といった極端な見出しを掲げた。こういった厄介な報道の雑音が少ないこともシアトル、サンディエゴの利点である。

 根拠が薄いまま本命に祭り上げられたヤンキースが、早々と脱落という波乱の展開になった大谷争奪戦。アメリカ国内で抜群の存在感があるとは言えない、小規模マーケットチームが勝者となるのか。それとも、ドジャースやカブスといった名門球団にも、まだチャンスは残されているのか。ここにきて急展開を見せるレースには、近いうちに結末を迎えそうな空気が漂ってきている。

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