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元ヤクルト同僚たちが感謝する、
青木宣親の「青空バッティング教室」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

――"コツ"ですか?

「説明するのは難しいんですけど、バッティングにはそういうのがあるんですよ。こうすれば、率はそこそこ残るとか......。1年目に二軍で打率.372打ちましたよね。ピッチャーとの間合いのなかで、ヒットを打つ感覚をつかんだのだと思います。二軍でその感覚をつかみ、一軍では最初こそうまくいきませんでしたが、対応力が高いんでしょうね。見ていても、ボールの見逃し方であったり、バットの面にボールをしっかり合わせるのがうまくなったり......。さらに、年数を追うごとに『こういう風にボールを捕まえたら長打が打てる』という感覚をモノにした。結果が出れば自信にもなるし、すべてがうまくかみ合ったんだと思います」

 福地寿樹外野守備走塁コーチは、「青木はある意味、恩人です」と言った。

「僕は2008年に西武からヤクルトに移籍するのですが、まず青木にバッティングについて聞きたいと考えていて、実際に習うことになりました。僕は青木と同じ左打者で、逆方向にゴロを打ったりすることはできていたんです。ただ、引っ張ると一塁ゴロや二塁ゴロになってアウトになるケースが多く、その頃、青木はすでに超一流打者で、見ているとゴロが一二塁間を抜けていくか、野手のいない二遊間に飛んでいくんです(笑)」

 ふたりの「打球の行方」の違いについて青木に聞くと、「ヘッドを返さないことです」という答えが返ってきたという。

「ただ、それがどうしても理解できなかった。よく『バットのヘッドを返せとか、インパクトの瞬間に力を入れる』とかは聞きますよね。それなのに青木は『ヘッドを返さない』と言うんです。そこでキャンプで一緒に練習をして、『こうやるんですよ』『こう?』『そうじゃないです』『1回じゃわからない。もう1回やってくれ』と。あのときの特打のことはよく覚えています。青木からは教わることが多く、それからですね。引っ張った打球が一二塁間を抜けていくようになり、ようやく『こういうことだったのか』と理解できました(笑)」

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