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速球より遅球。データでわかる、
ダルビッシュ完全復活へのカギ (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 復帰登板した試合を見て、特に注目したのがカーブ。復帰2戦目のマリナーズ戦での初回、3番のロビンソン・カノをバッターボックスに迎えた場面です。今シーズン絶好調のカノに対して、ダルビッシュ投手は72マイル(約115.8キロ)のカーブで空振り三振。さらに4回、こちらも好調な6番のアダム・リンドに対し、今度は65マイル(約104.5キロ)のカーブで三振を奪いました。

 この試合では5奪三振のうち、スライダーとカーブで2個ずつ三振を獲っています。試合後、レンジャーズのジェフ・バニスター監督も、「変化球がとてもよかった」とコメントし、ダルビッシュ投手のオフ・スピード・ピッチを絶賛していました。

 オフ・スピード・ピッチが注目を集めるようになったのは、明確な理由があります。近年のデータを比べてみると、オフ・スピードのボールの被打率が年々下がっているからです。

 ご存知のとおり、メジャーリーグのピッチャーが投じる速球は、年々スピードが上がっています。2008年シーズン、メジャーで投げられた95マイル(約152.8キロ)以上のボールは全体の4.82%でした。しかし、その割合は年々上昇し、2015年シーズンでは9.14%。8年間で倍近く増えているのです。

 その傾向に伴ってか、スピードを抜いた(オフ・スピード)ボールの被打率も下がってきました。2008年は被打率.234だったのに対し、2015年は被打率.223。今年はすでに被打率.216まで下がっています。このような傾向があることで、メジャーの先発ピッチャーは「いかにオフ・スピードのボールを効果的に投げられるか」を考えるようになりました。

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