2014.09.13

逆境をチャンスに変えられる岩隈久志の強さ

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エースの響き~ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流の流儀」
岩隈久志(1)

 こんにちは、中谷仁です。私は1997年のドラフトで阪神から1位で指名を受け入団し、その後、楽天、巨人でもプレイしました。2012年まで現役を続け、昨年は巨人のブルペン捕手としてチームのリーグ優勝を見届けました。この16年の間、実に多くの投手の球を受けてきました。そこで、実際に受けた経験をもとに、超一流と呼ばれるエースたちの素顔に迫りたいと思います。今回は、シアトル・マリナーズで活躍している岩隈久志です。2年連続してメジャーで2ケタ勝利を挙げ、今やチームにとって欠かすことのできない存在となっています。なぜ、岩隈がメジャーで活躍できたのかについてお話したいと思います。

メジャーで2年連続2ケタ勝利をマークした岩隈久志

 クマ(岩隈)の素晴らしいところは、力感のないフォームから「ピュッ」と切れのある球を投げられるところです。だから、ストレートが高めにいってもバッターが振り遅れてしまい、フライアウトになるんです。そして基本的なピッチングスタイルは、左右高低にボールを動かして打ち取るタイプ。今も楽天時代とスタイルは変わっていませんが、ひとつひとつのボールの精度が高くなり、日本にいた時より明らかに”進化”しています。

 スプリットもスライダーも勝負球になるボールですが、クマのピッチングを支えているのはシュートなんです。初めてクマのシュートを受けた時、「こんなシュートを投げられる投手がいたんだ」と本当に驚きました。楽天時代、いちばん多くクマとバッテリーを組んだ藤井彰人(現・阪神)も「ここぞという場面ではシュート」と言っていました。

 打者はクマのスライダーが頭にあるから、余計にシュートが効いてくるんです。特に右打者は、外を意識したと思えば、内角をえぐられ、内角を意識すれば、外で打ち取られる。さらに、内角、外角の両方を意識すれば、今度は落ちる系のボールで勝負される。これほど厄介なピッチャーはいないと思います。