2014.09.11

錦織圭の偉業を称えたイチローの特別な思い

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 日本中に夢と元気を与えたテニスプレイヤー・錦織圭の大躍進。舞台となったニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターは、ヤンキースタジアムからおよそ16キロ、渋滞がなければ車で20分ほどの距離にある。現地の興奮を肌で感じることができるこの空間で、イチローは錦織の偉業を称えた。

錦織圭の偉業にイチローも賛辞を惜しまなかった

 それは錦織が全米オープンで決勝進出を果たした現地9月6日のこと。その言葉には、イチローにしか語ることのできない重みがあった。

「いやぁ、凄いね。テニスの知識はないし、僕はどのくらい凄いのかが……。まぁ、過去にやったことがないというのは計りになるけどね。でも凄いね。凄いという表現がちょっとダサいけど、気持ちがいいね。あの冷静な感じもいいよね」

 世界の舞台で日本人として歴史的な快挙をやってのける。まさにそれは、イチローのメジャーリーグにおいての代名詞だった。10年連続シーズン200安打、シーズン最多の262安打はいずれもイチローだけが成し得たメジャーリーグ・レコードだ。

 イチローと錦織のふたりに面識はない。だが、錦織が日本人として初めて決勝進出を果たしたことで、お互いが共有できる特別な価値観が生まれたはずだ。イチローが発した言葉のひとつひとつにそんな思いが感じられた。

「(日本のスポーツ界が)明らかに前に進んでいる証でしょう。それを刻んでいるよね。錦織選手が結果を出していないと、96年前の人の存在があまりにも遠すぎて……。そりゃ、気持ちいいよね」