2014.06.11

選手には好評も、アンフェアな「チャレンジ」に異議あり!

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 今季から適応範囲が拡大されたビデオ判定(※)、いわゆる「チャレンジ」。新たなルールが導入されれば、今までになかった議論も生じてくるのは道理と感じるが、今回はこの『チャレンジ』について触れてみたい。
※これまでビデオ判定は本塁打のみに限定されていたが、ストライクとボールの判定以外、ほぼすべてのプレイが対象となった。

ニューヨークにあるセンターからの判定結果を待つ審判員たち。

 監督からビデオ審議を求められると、審判員たちはフィールドの片隅でマイク付きの大きなヘッドフォンを着け、話し込む。審判員たちが協議している相手は、ニューヨークのマンハッタン、チェルシー地区にあるMLB管轄の「リプレー・オペレーション・センター」に詰めている分析担当の審判員たち。球場の東西に関わらず、すべての協議はこのニューヨークのセンターと行なわれているわけだ。

 センターには37台の高画質モニターが並び、メジャーの30球場と直接つながるインターフォンシステムが完備されている。1日8人の担当者が勤務に付き、ひとりにつき2試合を担当。専属のビデオエンジニアたちとともにプレイの解析に当たっている。

 分析映像は各球場で行なわれているテレビ中継の映像が使われている。カメラは1試合に7台から、多いところでは25台が設置されており、球場内のあらゆる角度から撮影された映像をビデオで繰り返しチェックし、最終決断を現場の責任審判へ伝える。MLBはこの制度を導入するにあたり、審判員を昨年の66人から74人に増やし、分析担当者はシーズン前に3日間の集中講座を受けた。設備費用に関しては、軽く30億円を超えたと聞く。

 監督がチャレンジを行使できるのは、原則として1試合に一度だけだが、チャレンジによって判定が覆(くつがえ)った場合はもう一度チャレンジの権利が与えられる。また7回以降は、状況に応じて責任審判がビデオ審議を要求することも認められている。4月を終えた時点で「チャレンジ」は191回あり、判定が覆ったのは85回で、全体の45%に及んだ。