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投球フォームは瓜ふたつ?稀代の名投手と田中将大の共通点

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 6月2日現在ア・リーグ2位タイの8勝(1敗)、そしてリーグトップの防御率2.06をマークしているニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手。メジャー1年目ながら圧倒的な存在感を示し、早くもメジャー通のファンから一目置かれる存在となっています。開幕してまだ2ヶ月ですが、今シーズンはどれだけ成績を伸ばし、さらに今後どんな選手に成長していくのか、期待に胸が膨らみます。

ニューヨークの新たなヒーローとなりつつあるヤンキースの田中将大ニューヨークの新たなヒーローとなりつつあるヤンキースの田中将大「ニューヨークで戦後最高の投手」と讃えられたトム・シーバー「ニューヨークで戦後最高の投手」と讃えられたトム・シーバー 田中投手のピッチングを見ていると、かつての大エースと印象が非常に重なります。その偉大なるピッチャーとは、主にニューヨーク・メッツで活躍したトム・シーバーです。シーバーはデビューした1967年に16勝13敗をマークしてナ・リーグ新人王に輝き、1986年までの20年間で歴代18位となる通算311勝を残した右の豪腕投手です。1969年にはメッツのエースとして、球団初となる世界一に貢献しました。

 また、シーバーは「ニューヨークで戦後最高の投手」とも言われています。古くはニューヨーク・ジャイアンツやブルックリン・ドジャース、そして現在もニューヨークに本拠地を置くヤンキースやメッツを含めて、最も偉大なピッチャーと讃えられているのです。

 そんな稀代のヒーローと田中投手が重なって見えるのは、同じニューヨークという部分だけではありません。まずは、ふたりの「投球フォーム」がそっくりなのです。1960年代から1980年代にかけて、特にシーバーの活躍していた時代は、上半身の力だけで投げるピッチングフォームが全盛でした。セントルイス・カージナルスのエースだったボブ・ギブソン(1959年~1975年)に代表されるように、右投手なら投げ終わったあと、一塁側に大きく倒れ込むような投球フォームが多かったのです。今のメジャーでも見られますが、とにかく全力でボールをミットめがけて投げるダイナミックな投げ方が主流でした。

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