田中将大は同じ道を辿れるか?偉大なる即戦力ルーキーの系譜 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 オーランド・ヘルナンデスはポストシーズンに滅法強く、通算成績は9勝3敗。1998年~2000年のヤンキース3連覇の主軸として活躍し、1999年のリーグチャンピオンシップMVPにも輝いています。オーランド・ヘルナンデスは世界一奪還を狙う名門ヤンキースにとって、まさに最高の即戦力ピッチャーだったと思います。

 そして最後、ルーキーとして世界一に貢献したピッチャーで挙げたいのは、我らが松坂大輔投手でしょう。2006年オフにポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した松坂投手は、12月にボストン・レッドソックスと6年総額5200万ドル(約61億円・当時)で契約。全米中から注目を集めた松坂投手には、即戦力として大きな期待が寄せられました。

 しかし、そんなプレッシャーを背負いつつも、松坂投手はルーキーとは思えぬピッチングを披露します。2007年4月5日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で初先発し、7回6安打1失点10奪三振という好投でメジャー初勝利を上げると、7月初旬までにふたケタ勝利をマーク。終わってみれば、日本人初・メジャー史上8人目となる「メジャー1年目で15勝&200奪三振以上」を達成し、12年ぶりの地区優勝に大きく貢献しました。

 その後、インディアンスとのリーグチャンピオンシップでは第7戦で日本人初のポストシーズン勝利投手となり、コロラド・ロッキーズとのワールドシリーズ第3戦でも初勝利。その結果、レッドソックスは3年ぶりに世界一となり、松坂投手はメジャー1年目でチャンピオンリングを手に入れました。

 今回取り上げた例のように、まずは即戦力としてローテーションの一角を担うことが、メジャー1年目の田中投手に課せられた使命だと思います。そしてシーズンを通して活躍していけば、自ずと結果も付いてくることでしょう。ルーキーイヤーでワールドシリーズ制覇を成し遂げられれば最高です。田中投手のメジャー1年目からの活躍を大いに期待しています。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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