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現在33歳。松坂大輔がメジャーリーガーとしての復活する可能性は? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 そしてもうひとりは、1999年のドラフトでミルウォーキー・ブルワーズから1巡目全体10位の指名を受けて入団した、ベン・シーツというエリート投手です。アメリカ代表のエースとしてシドニー五輪に出場したシーツは、予選リーグの日本戦で松坂投手と投げ合って7回4安打無失点。そして決勝では、キューバ相手に完封勝利を収めて金メダルを獲得し、一躍、全米中のヒーローとなりました。そして2001年には、順調にメジャーデビュー。その後、毎年コンスタントにふたケタ勝利を挙げ、ブルワーズのエースとして君臨したのです。

 前述のリーホ同様、シーツも本格派ピッチャーとして名を馳せました。ストレートは96マイル(約154キロ)から98マイル(約158キロ)を計測し、カーブとチェンジアップを織り交ぜる投球で、2004年には球団記録となる1試合18奪三振をマーク。また、その年はランディ・ジョンソンの290奪三振に次ぐ、シーズン264奪三振を記録しました。

 しかし、2008年のシーズン後にひじの異常を訴え、30歳のときにトミー・ジョン手術を受けることになります。2009年はシーズンを棒に振り、2010年はアスレチックスと契約して20試合に先発し、4勝9敗という成績を残しました。その後再び、ひじの手術を行なうも、不屈の精神でリハビリに励み、2012年はアトランタ・ブレーブスとマイナー契約。9試合に先発して4勝4敗をマークし、シーズン後半、ブレーブスのプレイオフ進出に大きく貢献したのです。

 このように30歳という野球選手にとって大事な時期に手術しても、メジャーにカムバックして活躍したケースはあります。松坂投手も与えられたチャンスをひとつずつモノにすれば、おのずと次の道も開かれることでしょう。それは過去の例が証明しています。残り約1ヵ月、松坂投手には内容の濃い結果を残してもらい、来シーズン、さらにステップアップしてもらいたいと願っています。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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