現在33歳。松坂大輔がメジャーリーガーとしての復活する可能性は?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 8月22日にニューヨーク・メッツとメジャー契約した松坂大輔投手が、徐々に調子を取り戻しつつあるようです。メジャー復帰後、最初の3つの先発では、計12イニング3分の1を投げて0勝3敗・防御率10.95。1試合平均で4イニング程度しかマウンドに立てませんでした。また、球数も1イニング平均25球を費やし、もしそのペースで9イニングを投げれば、松坂投手が甲子園で投げた球数(※)に匹敵すると、地元ニューヨークのメディアに揶揄されていました。しかし9月8日、クリーブランド・インディアンス戦に先発した松坂投手は、5イニング3分の2を投げて1失点。フォアボール3個に対し、6個の三振を奪う好投。それまでの3試合と打って変わって、見事なピッチングを披露したのです。メッツのテリー・コリンズ監督は試合後、「まるで別人のようだった」と絶賛していました。

(※)1998年、夏の甲子園・準々決勝で、横浜の松坂大輔はPL学園相手に250球を投げて完投勝利を収めた。

トミー・ジョン手術を経て、今シーズン、ニューヨーク・メッツでメジャー復帰した松坂大輔投手トミー・ジョン手術を経て、今シーズン、ニューヨーク・メッツでメジャー復帰した松坂大輔投手 2011年6月にトミー・ジョン手術を受け、復帰した2012年は1勝7敗・防御率8.28。今シーズンはインディアンスとマイナー契約を結ぶも、メジャーに昇格できずに自由契約を選び、新天地のメッツでようやくメジャーのマウンドに立つことができました。時速95マイル(約153キロ)をマークしていたボストン・レッドソックス時代と比べると、たしかにストレートの球速は出ていません。メッツでの登板では、平均87マイル(約140キロ)から90マイル(約145キロ)。最速でも92マイル(約148キロ)でした。しかしながら、球威が落ちた一方、8日の試合ではコントロールが素晴らしかった。投げるテンポも、リズムも良く、何よりカーブが冴え渡っていたのです。速くないストレートを補うように、要所で変化球を織り交ぜ、インディアンス打線からカーブで4個の三振を奪っていました。

 30代になれば、どんな速球投手もストレートの球威だけで生き残るのは難しいことです。ノーラン・ライアンやロジャー・クレメンス、ランディ・ジョンソンといった一部の豪腕ピッチャー以外は、技巧派に転身せざるを得ないのです。日本人屈指の豪腕投手としてメジャー入りした松坂投手も例外ではないでしょう。ただ、今シーズン、メッツでの登板チャンスは松坂投手にとって、大きなターニングポイントになるかもしれません。なぜならば、松坂投手が速球派から技巧派にうまく転身できれば、メジャーの世界で再び活躍できるかもしれないからです。

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プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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