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黒田博樹&岩隈久志、打線の援護があれば今ごろ何勝? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Getty Images

 野球に「たら、れば」が禁物なことは百も承知だが、ここで黒田のQSを勝利数に上乗せしてみた。ここまで(現地時間8月4日現在)の黒田は22試合に先発してのQSは15回あり、そのうち勝ち星がつかなかったが6回と負けが1回。さらにHQSは6回もある。

 なかでも悔いが残るのがこの3試合。4月20日のブルージェイズ戦は、7回1/3を自責点1。しかし、リリーフ陣が8回に3点のリードを追いつかれ逆転負け。5月28日のメッツ戦では、今年のオールスターでナ・リーグの先発を務めたマット・ハービーと息詰まる投げ合いを披露。7回を無失点に抑えて1点リードのまま降板するも、チームはサヨナラ負け。さらに、7月7日のオリオールズ戦でも7回無失点でブルペンに後を託すもサヨナラ負け。

 これらを含めたQSがもし勝利に報われていれば、現在の10勝6敗ではなく、17勝5敗(QSの負けがひとつ消える)に。この成績なら、間違いなくサイヤング賞争いに名を連ねていたはず。仮にQSを満たさずに勝利を挙げる、いわゆるチープウィン(黒田は2回)を差し引いても15勝5敗となる。

 ちなみに、「無援護の楽園」と名高いセーフコ・フィールドを本拠地とするマリナーズの岩隈久志は、今シーズン23試合に先発してここまで10勝4敗の成績を残しているが、QSは15回。黒田同様、打線の援護に恵まれない試合も多く、15勝していても不思議ではない。

 もちろん、黒田や岩隈以上にツキのない投手もいて、冒頭に登場したカーショーもここまで10勝6敗だが、25試合に先発してQSは19回。防御率も1.87と抜群の成績を収めており、なかなか好投が報われない。前述のハービーも8勝3敗だが、22試合中QSは17回で防御率も2.21と先発投手として安定した成績を残している。

 その中で最も悲劇的なのが、クリス・セール(ホワイトソックス)。20試合に先発してQSは16回。さらに防御率2.92はリーグ8位。それでも勝敗は6勝11敗と大きく負け越している。10勝している黒田や岩隈が、まだ幸運と思えるほどだ。

 黒田や岩隈の話はあくまで机上の空論だが、それだけのピッチングをしていることは間違いない。「勝ち星がすべてではない」にしても、好投している投手には「勝利」がついてほしいと切に願うばかりだ。

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