黒田博樹&岩隈久志、打線の援護があれば今ごろ何勝?
ヤンキース対ドジャースは鮮度が落ちてきた交流戦の中でも、いまだ魅力的なカードで、7月31日(現地時間)の試合では黒田博樹(ヤンキース)とクレイトン・カーショー(ドジャース)が先発した。ともに2008年にドジャースでメジャーデビューを果たしたふたり。元チームメイトの投げ合いにドラマを感じたが、それよりも「屈指の無援護投手」同士の対決に興味をそそられた。
ふたりの味方打線からのランサポート(得点援護率/RS)は、この日の対決まで奇しくもともに42位。黒田にいたっては、かつてメジャー屈指だったヤンキース打線が鳴りを潜め、貧打のヤンキース打線になってしまったというツキのなさ。
現地時間8月4日現在、ア・リーグ2位の防御率をマークしている黒田博樹
この日の試合でも、両投手が見事な投げ合いを演じ、黒田は7回を無失点、カーショーは8回を無失点に抑え、それぞれ降板した。結局、試合は9回に3点を挙げたヤンキースが勝利したが、黒田に11勝目はつかなかった。
さて、ここでクオリティスタート(QS)について少し。メジャーでは先発投手の能力を評価する指標としてQSがあることは、日本でも知られるようになった。QSとは、先発投手として6イニング以上を投げて自責点3以内に抑えることで、要は試合を壊さない投手ということだ。勝ち星は打線の援護やブルペンの出来によって左右されるので、先発投手の能力を評価しづらい。
2010年にフェリックス・フェルナンデス(マリナーズ)が13勝12敗の成績でサイ・ヤング賞を受賞したが、この年、フェルナンデスは34試合に登板し30試合がQSだった。勝ち星こそ伸びなかったが、QSをはじめとした投球内容が評価された結果といえる。さらに最近では7イニング以上を投げて自責点2以内に抑えるハイクオリティースタート(HQS)という指標もある。
そこで、だ。QS=勝利数でないことは理解しているのだが、黒田のQSの内容を見ると、「数年前のヤンキース打線だったら......15勝していても不思議じゃないよ」と、つい考えてしまう。「今は勝ち星の時代じゃないから」と言われても、どうしても勝利数に目がいってしまうのだ。
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