2013.07.23

イチローと松井秀喜、ふたりの「ラスト・デー」に想う

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 今からちょうど1年前に何があったかを詳細に語れる人がいるとすれば、それは相当コアなメジャーリーグ・ファンだろう。何しろ、普段からメジャーを取材している日本人記者でさえ、その事実に気付く者は少ないのだ。

 2012年7月23日(現地時間22日)に行なわれたタンパベイ・レイズとシアトル・マリナーズの一戦。メジャーの歴史からすれば、およそ29万試合あるうちのただの1試合に過ぎないかもしれない。しかし、日本人にとっては忘れることのできない試合になった。

2004年にはともにメジャーのオールスターに出場したイチロー(右)と松井秀喜

 1-2と1点を追うレイズが9回二死一、二塁の好機を作ると、ジョー・マドン監督は「こういう場面のために、彼は我々のチームにいる」と、代打に松井を起用した。

 結果は、初球の97マイル(約156キロ)のストレートを打ち上げ、ショートフライに終わった。これで18打席連続無安打となり、打率も1割4分7厘まで落ち込んだ。以後、松井が打席に立つことはなかった。

 この試合の2日後、松井はレイズから解雇通告を受けた。その後も松井を獲得する球団は見つからず、昨年末、20年におよぶ現役生活にピリオドを打った。つまり、この日が松井にとって現役最後の1日となったのだ。