【MLB】「脱イチロー」で生まれ変わったマリナーズに注目せよ!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

パワー重視に方向転換したシアトル・マリナーズの主軸を担うのがマイク・モースだパワー重視に方向転換したシアトル・マリナーズの主軸を担うのがマイク・モースだ【2013年メジャーリーグ「台風の目」~ア・リーグ編~】

 2013年のメジャーリーグがついに開幕しました。開幕早々、ダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)が完全試合にあと一歩まで迫るなど、予想以上の盛り上がりを見せています。今シーズンは、どんなドラマが待っているのでしょうか。そこで今回は、今年のメジャーリーグでメイクドラマを演じそうな、「台風の目」となるチームを紹介したいと思います。

 まず、メジャー最大の激戦区と呼ばれるア・リーグ東地区から見ていきましょう。かつて東地区は、「1位ニューヨーク・ヤンキース、2位ボストン・レッドソックス」という順位が毎年のように続いていました。しかし近年は勢力図が変わり、タンパベイ・レイズが資金力に恵まれないながらも2強を脅かし、さらに昨年は、ボルチモア・オリオールズが1997年以来15年ぶりに勝ち越してプレイオフへ進出。今の東地区では、どのチームが最下位になっても不思議ではありません。アメリカの野球解説者の中には、「今年の最下位は、ケガ人続出のヤンキース」と予想している人もいます。

 そんな東地区で今年、最も注目しているのはトロント・ブルージェイズです。昨年まで5年連続4位と低迷していましたが、今オフに大補強を施し、特に先発投手陣を強化しました。というのも、昨年のブルージェイズの先発陣には、200イニング以上を投げた投手がいなかったのです。そこで今オフ、ニューヨーク・メッツから2012年サイ・ヤング賞投手のR.A.ディッキー(20勝6敗・防御率2.73)を獲得。さらにマイアミ・マーリンズから技巧派左腕のマーク・バーリー(13勝13敗・防御率3.74)と、右の豪腕ジョシュ・ジョンソン(8勝14敗・防御率3.81)も獲得しました。ディッキーは2年連続で200イニング以上を投げ、昨年の233イニング3分の2はナ・リーグ最多。バーリーも12年連続で200イニング以上を記録し、ジョンソンも昨年は191イニング3分の1を投げています。一度に3人ものエース級を獲得したことで、ブルージェイズは1993年以来20年ぶりのワールドチャンピオンを狙える布陣となりました。

 今年、ブルージェイズとマイナー契約した川崎宗則選手(打率.192・0本塁打・7打点)は、いいチームに巡り合えたと思います。強力打線は健在なだけに、投手力をアップさせたブルージェイズは東地区の「台風の目」となるでしょう。川崎選手には早くメジャーに再昇格して、チームに貢献してもらいたいですね。長いシーズンの大事な時期に、必要とされる日がきっと来るはずです。

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