【MLB】日本人投手、2年目のジンクスはいかに?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

リラックスした表情でノックを受けるメジャー2年目のダルビッシュ有リラックスした表情でノックを受けるメジャー2年目のダルビッシュ有 2月中旬になって各球団がキャンプインし、ようやくメジャーリーグのニュースを多く目にするようになりました。やはり気になるのは、「昨年活躍した日本人メジャーリーガーが、今シーズンどのぐらい飛躍できるか?」でしょう。そこで今回は、2013年も期待される3人の日本人投手を取り上げたいと思います。

 まずは昨シーズン、メジャー1年目で16勝を挙げたダルビッシュ有投手から触れましょう。昨年オフにFAのライアン・デンプスターがボストン・レッドソックスと契約したことで、今シーズンのテキサス・レンジャーズの先発陣は、マット・ハリソン、ダルビッシュ有、デレク・ホランド、そしてリリーフから再転向するアレクシー・オガンドの4名が中心となります。昨シーズンの成績を見てみると、ハリソンが勝利数(18勝)と防御率(3.29点)でチームトップ。また、セイバーメトリクスによる選手の総合評価指標『WAR(※)』でも、ジャスティン・バーランダー(デトロイト・タイガース)とデビッド・プライス(タンパベイ・レイズ)に次ぐア・リーグ3位の『6.2』を残しました。

(※)WAR=各ポジションの平均選手と比べ、その選手がどのぐらいチームの勝利数を上積みしたかという指標。平均的な選手は『WAR=2.0』

 しかしながら今シーズン、レンジャーズがエースとしての役割を求めているピッチャーは、ダルビッシュ投手だと思います。というのも昨シーズン、ダルビッシュ投手の成績は勝利数(16勝)、防御率(3.90点)でハリソンに届かなかったものの、奪三振数(221個)はチームトップ。1試合平均10.4個という驚異的な奪三振率を残しました。さらにハリソンが被本塁打22本に対し、ダルビッシュ投手は14本しか打たれていません。打球が良く飛び、ホームランの出やすい球場を本拠地とするレンジャーズにとって、この数字は非常に重要なポイントとなります。よって、打たせてアウトを稼ぐハリソンより、バットに当てさせない豪腕タイプのダルビッシュ投手のほうが、メジャーでは『エース』と呼ぶに相応しいのです。

 昨シーズンのダルビッシュ投手を振り返ると、前半は制球に苦しんだものの、後半は尻上がりに調子を上げました。特にレギュラーシーズン終盤の先発8試合では、5勝1敗・防御率2.35という好成績。しかも、1試合で平均1.8個しかフォアボールを与えていない見事な内容でした。

 さらに注目すべきは、チームの方針により、29試合の先発登板で191イニング3分の1しか投げていない点です。その結果、投球過多による疲労もなく、今シーズンは開幕から全力で投げられると思います。このあたりも、ダルビッシュ投手が昨シーズン以上に好成績を残すと予想される理由ではないでしょうか。

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