2012.06.19

【MLB】サイ・ヤング賞最有力のストラスバーグが、
8月でシーズン終了!?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

ナショナルズ快進撃の原動力となり、サイ・ヤング賞との声も出てきたスティーブン・ストラスバーグ いつの時代も、野球ファンは剛腕投手に惹かれます。古くは『人間機関車』の異名をとったウォルター・ジョンソン、『火の玉投手』ことボブ・フェラー、そして『ザ・エクスプレス』のノーラン・ライアン、近年なら『ロケット』ロジャー・クレメンスに、『ビッグユニット』ランディ・ジョンソン……。そして今、メジャーで最も注目を集める剛腕投手といえば、ワシントン・ナショナルズの若きエース、スティーブン・ストラスバーグです。

 2010年6月8日、『ドラフト史上最高のルーキー』と評されたストラスバーグは、ピッツバーグ・パイレーツ相手にいきなり球団新記録の14奪三振を記録。鮮烈なデビューでメジャー初勝利を挙げました。ところが2ヵ月後の8月、右ひじの違和感を訴えて故障者リスト入り。その結果、腱の移植手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けることになり、約1年間のブランクを強いられます。しかしその苦境を乗り越え、昨年9月に復帰。彼にとっては、キャンプから参加して開幕を迎えられた今年こそが、本格的なカムバックシーズンなのです。

 手術前と比べると、ストレートの平均球速は時速97.3マイル(約156キロ)から95.7マイル(約154キロ)に落ちました。しかし、95マイルの球速は依然、球界トップクラスです。しかもフォーシームとツーシームを使い分け、彼自身が「スラーブ」と呼ぶカーブを織り交ぜるなど、非常に成熟したピッチングを披露するようになりました。1年間の苦しかった時期が、彼を精神面で大きく成長させたのではないでしょうか。

 その結果、初の開幕投手を務めたストラスバーグは、味方打線に恵まれず勝ち星こそ伸びなかったものの、5試合の登板で2勝0敗・防御率1.13、そして34奪三振をマーク。しかも4試合で自責点1点以下という抜群の内容を残し、4月のナ・リーグ月間最優秀投手に選ばれました。また、6月8日のレッドソックス戦では13個の三振を奪い、メジャー通算29試合の先発登板で、208奪三振を記録。1900年以降の近代野球、史上6人目となる『30試合未満で200奪三振』という大台突破を成し遂げました。ちなみに歴代1位は野茂英雄投手(当時ロサンゼルス・ドジャース)とケリー・ウッド(当時シカゴ・カブス)の23試合。2位以下はドワイト・グッデン(当時ニューヨーク・メッツ)、マーク・プライアー(当時カブス)、ハーブ・スコア(当時クリーブランド・インディアンス)といった錚々(そうそう)たるメンツです。

 ストラスバーグは、さらにメジャーの歴史を塗り替えます。6月13日のブルージェイズ戦で8奪三振を記録し、今シーズン一番乗りで100奪三振となりました。これは、1919年のウォルター・ジョンソン(ワシントン・セネターズ)以来、首都を本拠地としたチームの投手として初の快挙。首都ワシントンのチームとは、ア・リーグ創設(1901年)から1960年までが初代セネターズ(現ミネソタ・ツインズ)、1961年~1971年が第2次セネターズ(現テキサス・レンジャーズ)、そして2005年以降はモントリオールから移転してきた現在の新生ナショナルズです。あのウォルター・ジョンソンの名前が出てくるという時点で、すごいとしか言いようがありません。