【MLB】リーグトップタイの5勝目を挙げたダルビッシュ。最多勝の可能性は?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

超一流ピッチャーが顔をそろえるア・リーグで、ダルビッシュ有は最多勝を獲れるか超一流ピッチャーが顔をそろえるア・リーグで、ダルビッシュ有は最多勝を獲れるか ダルビッシュ有投手が5月11日のロサンゼルス・エンゼルス戦で5勝目をマークし、リーグトップの勝ち星に並びました。この勢いを持続できれば、メジャー1年目で最多勝のタイトルも夢ではありません。しかしア・リーグには、錚々(そうそう)たる超一流ピッチャーがそろっています。そこで今回は、ダルビッシュ投手が最多勝を狙う上でライバルとなる各球団のエースたちを紹介したいと思います。

 まず、ア・リーグの最多勝争いで欠かせない投手といえば、ニューヨーク・ヤンキースのCC・サバシアでしょう。2001年にクリーブランド・インディアンスでデビュー以来、11年連続ふたケタ勝利を挙げ、移籍したヤンキースでは2年連続最多勝(2009年・2010年)に輝きました。昨年もリーグ2位の19勝をマークするなど、サバシアはア・リーグ屈指の安定感を誇る大エースです。しかも今シーズンは、なんと開幕から無傷の5連勝。例年スロースターターのサバシアは、夏場以降に本領を発揮するタイプだったので、このスタートダッシュには驚きです。このペースで勝ち続けると、いったい今シーズンは何勝を挙げるのでしょうか。2010年にマークした自己最多の21勝を軽く上回るかもしれません。

 同じく無傷の5連勝をマークしているのが、エンゼルスのジェレッド・ウィーバーです。2006年にデビュー以来、6年連続ふたケタ勝利を挙げ、昨年もリーグ3位の18勝、リーグ2位の防御率2.41を記録。ジャスティン・バーランダーがいなければ、間違いなくサイ・ヤング賞に選ばれたと思います。今シーズンも現在、防御率1.60と絶好調で、5月2日のミネソタ・ツインズ戦では球団史上10人目のノーヒットノーランを達成しました。今、アメリカでは「最もアンヒッタブルな(ヒットを打てない)ピッチャー」と言われています。

 このサバシアとウィーバーに並び、ア・リーグの『ビッグ3』と呼ばれているのが、前述したデトロイト・タイガースのバーランダーです。ご存じの通り、昨年は投手三冠(24勝・防御率2.40・250奪三振)に輝き、史上10人目となる『サイ・ヤング賞&MVP』のダブル受賞を果たしました。ただ、今シーズンは開幕からやや出遅れ、現在3勝1敗・防御率2.63。今シーズンの数字でひとつ気になっているのが、7イニング以上投げた試合の回数なんです。昨年は34試合中26回(約76%)も7イニング以上投げたのに対し、今シーズンは7試合投げて4回(約57%)。決して悪い数字ではないのですが、昨年と比べると、早めにマウンドを降りる回数が増えています。しかし、バーランダー最大の武器であるストレートの球威は、今シーズンも時速100マイル(約161キロ)と健在ですので、いずれ最多勝争いに加わってくるのは間違いないでしょう。

 その『ビッグ3』に次いでダルビッシュ投手のライバルとなるのが、タンパベイ・レイズのジェームズ・シールズとデビッド・プライスだと思います。現在5勝1敗のシールズは『ビッグゲーム・ジェームズ』の異名を持つように、大事なゲームで強さを発揮するピッチャーです。2010年は防御率5点台とスランプに陥りましたが、昨年はフォーム矯正などをして復活。今シーズンは2年ぶりに開幕投手を務め、チームを牽引しています。そして2007年ドラフト全体1位の若きエース、プライスも好調で現在5勝をマーク。開幕から27試合でふたりの投手が5勝を挙げているチームは、2006年のヤンキース(マイク・ムシーナとランディ・ジョンソン)以来なんです。松井秀喜選手がメジャーに昇格して得点力がアップすれば、今後も順調に勝ち星を伸ばすと思います。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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