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【MLB】ダルビッシュ有へ、先人たちが教える「滑るボールはこう投げろ!」

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

滑る公式球に対して、試行錯誤を続けているダルビッシュ滑る公式球に対して、試行錯誤を続けているダルビッシュ レンジャーズのダルビッシュ有が4度目の実戦登板を果たした。自軍のマイナー選手相手(3A、2A、1A、それぞれ3人づつ)の紅白戦に5回を投げ6安打、2四球、11奪三振、4失点。マイナー相手の投球で現段階の力を計ることは難しいが、彼が投じた86球の内容を考えれば、滑る公式球への対応が確実に上がっていると思う。

 ストライクは7割近い59球を数え、ボールが手につかずに苦労している姿はなかった。またイニングごとの球数にはバラツキがあり、完全に操れている感覚ではないだろうが、ダルビッシュも「今は自分の調整の時期。ちょっとずつ良くなってきていますし、ちょっとずつ調子も上がってきている」と言うように、徐々に手応えをつかんでいることは間違いないようだ。

 ダルビッシュの投球フォームを、現時点とキャンプ初日で比較してみると多くの相違点がある。大きく分けて、「歩幅」「リリースポイント」「右手首の使い方」の3点だ。

 ダルビッシュの投球フォームは、左足がホームプレート方向へ"スーッ"と伸びていくのが大きな特徴だったが、今は"ポン"と早めに着地する。つまり、歩幅を小さくしたのだ。おそらく半足から一足近く小さくなっている。この下半身の使い方の変化により、重心は高くなり、リリースポイントが後ろに下がった。少年野球の頃から「ボールは少しでも前で放せ」と教えられてきたことを考えれば逆行するようだが、じつはこの歩幅とリリースポイントの変化は滑るメジャー公式球対応への定番と言ってもいい。

 今季メジャー7年目を迎えるダイヤモンドバックスの斎藤隆が、滑るボールに苦労したというイメージは我々にはほとんどない。しかし、斎藤自身は「今でも滑りますよ」と笑う。そして、7年前の自己の体験を話してくれた。

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