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【MLB】ダルビッシュ有へ、先人たちが教える「滑るボールはこう投げろ!」 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「ボールの握り方も浅く軽くから、深くしっかりというものに変えましたけど、ボールを前で放そうとすればするほど、投げるボールは高くふけ上がっていきました。これは滑るボールのほかに傾斜のきついマウンドも影響をしていると思いますが、ここで逆転の発想をしたんです。早くボールを放したらどうなるんだろうと。リリースポイントを後ろにするイメージで試してみたら、ボールは操れるし、打球も飛びが悪いんですよ。僕は歩幅を一足近く小さくし、高い位置からボールを投げるように変えることでボールの滑りが気にならなくなりましたね。イメージは大塚晶文の投球フォームでした」

 斎藤隆は2006年、招待選手として招かれたドジャースキャンプで2回目の打撃投手を務めた際、この感覚を掴んだという。そして、全く同じ話しを、以前に違う投手から聞いたことがあった。

 それが2000年のメジャー1年目、マリナーズのキャンプに参加していた佐々木主浩だ。彼は契約書にキャンプでの投げ込みを容認する事項を入れてもらい、日本時代同様の投げ込みを行なった。その中で滑るボールに対応する手段として、歩幅を狭めリリースポイントを後ろにし、高い所から投げ下ろすイメージに変えた。

 ふたりの1年目の結果は佐々木が37セーブで新人王、斎藤隆はシーズン途中からクローザーになり6勝24セーブを挙げる大活躍。ふたりは誰にアドバイスされたわけでもなく、自分の中で築き上げていった。そして今、ダルビッシュもまさにその過程を踏んでいる。

 また、テイクバックからトップを作り上げるまでに右腕が急加速し、ボールが飛び抜けそうになる不安は日本時代よりボールを深く握り、右手首をロックすることで滑りを防ごうとしている。

「今は自分の調整が優先。投げたいよう投げているだけ」

 ダルビッシュはそう語るが、これからは開幕に向けて、最後の仕上げの段階に入る。残り2試合のオープン戦の登板を楽しみにしたい。

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