【MLB】ドラフト全米1位、超大物ブライス・ハーパーがついにデビュー!?
10年にひとりの逸材とも評される超大型新人ブライス・ハーパー(ナショナルズ)2012年、注目のスター候補たち[ナ・リーグ編]
フリオ・テヘラン(21歳)
[アトランタ・ブレーブス/投手/右投右打]
2012年、ナ・リーグで一番注目したいピッチャーは、アトランタ・ブレーブスに所属するコロンビア人、フリオ・テヘランです。コロンビア出身のメジャーリーガーは少なく、エドガー・レンテリア(シンシナティ・レッズ)や、今年引退の意向を表明したオーランド・カブレラ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)など、いずれも遊撃手で、実績を残したピッチャーはいまだ出現していません。
2007年、16歳のテヘランは、コロンビア出身選手として当時最高額の契約金85万ドル(約1億円・当時)でブレーブスに入団しました。ニューヨーク・ヤンキースもブレーブスより高い契約金を提示して獲得に乗り出していたのですが、テヘランの叔父がブレーブスのスカウトだったため、ヤンキース入りを断ったと言われています。ちなみに85万ドルという金額は、その年にメジャー球団が契約したアマチュア外国人投手のなかでも最高額。テレランの評価は、アマチュア時代から非常に高かったのです。
テヘランはその期待を裏切ることなく、順調に成長しました。2011年、トリプルAでリーグトップの15勝3敗・防御率2.55という非の打ちどころのない数字で投手二冠(最多勝・防御率)を獲得。所属しているマイナーリーグの最優秀投手賞も受賞しました。そして20歳でメジャーデビューを果たし、1勝1敗・防御率5.03という記録を残しています。
身長188センチと、ピッチャーとしては決して大柄ではないのですが、チェンジアップを織り交ぜながら、細身の身体をしならせて投げるストレートは最速97マイル(156キロ)をマーク。軽く投げているように見えながら打者の手もとで伸びてくる球筋は、ドミニカ出身のペドロ・マルティネス(元ボストン・レッドソックスなど)を彷彿とさせます。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)