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【MLB】ア・リーグ新人王争い。ダルビッシュのライバルはコイツだ! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

ヘスス・モンテロ(22歳)
[シアトル・マリナーズ/捕手・DH/右投右打]

 最後の注目選手は、今年からイチロー選手のチームメイトとなったシアトル・マリナーズのヘスス・モンテロです。ベネズエラ出身のモンテロは、2006年、16歳でヤンキースと契約しました。そして昨年、トリプルAで打率.288・18本塁打・67打点の成績を残し、2011年9月にメジャーデビュー。ベテランのホルヘ・ポサダの後継者になり得る『強打のキャッチャー』として注目されました。

 そしてモンテロの名をヤンキースファンに知らしめたのが、9月5日のボルチモア・オリオールズ戦。8番DHで出場したモンテロは、本拠地ヤンキースタジアムで決勝ホームランとダメ押しホームランを放ち、記念すべきメジャー初本塁打を2連発で飾ったのです。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは「マニー・ラミレスやミゲル・カブレラに匹敵するパワー」と大絶賛し、ファンも「ロビンソン・カノーに次ぐ、生え抜きスター誕生」と大喜びしました。

 昨年は18試合で打率.328・4本塁打・12打点を記録。プレイオフメンバーにも抜擢され、ディビジョンシリーズ第4戦では、DHのポサダに代わって2打数2安打1打点と活躍するなど、早くもスター性を存分に発揮しました。ところが、ヤンキースは今オフ、最重要課題だった先発陣強化のため、マリナーズで昨年9勝を挙げた豪腕マイケル・ピネダとの電撃トレードを敢行し、モンテロを放出したのです。ヤンキースは常々「モンテロは出さない」と言っていただけに、このニュースは衝撃的でした。

 一方、毎年貧打に泣いていたマリナーズにとっては、待望の大砲獲得です。セーフコフィールドは投手有利な球場と言われていますが、ライト方向への本塁打は意外と多いんです。モンテロは右バッターながらライトスタンドに叩き込むパワーと技術を持っているので、セーフコフィールドの特性と合っていると思います。スカウトたちの間では、モンテロを『マイク・ピアザの再来』と評しており、キャッチャーとして史上最多の通算396本塁打を放ったスラッガーに重ね合わせています。イチロー選手とともに、来シーズンのマリナーズは『若きスラッガー』モンテロに注目してください。

 続々と出てくるスター候補生たち。ムーアも、トラウトも、モンテロも、新人王の資格があります。ダルビッシュ有投手のライバルたちは、正直言って強敵です。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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