【MLB】ダルビッシュ有は「3つの課題」をクリアできるか?

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by AFLO

6年6000万ドルでレンジャーズと契約したダルビッシュ有。背番号は日本ハム時代と同じ11番に決まった6年6000万ドルでレンジャーズと契約したダルビッシュ有。背番号は日本ハム時代と同じ11番に決まった レンジャーズの本拠地レンジャーズ・ボールパークで行なわれたダルビッシュの入団会見。米国人記者たちからは"適応"への質問が次から次へと浴びせかけられた。すでに彼らも日本人投手がアジャストしなければならない"3つの課題"を過去の歴史から熟知している。しかし、そんな心配をよそにダルビッシュは毅然(きぜん)と答えた。

「不安は何もないです。環境が変わるので、すごい打者や投手と対戦できるので、それがすごく楽しみです」

 滑る公式球――しっとりとした牛の皮を使用する日本のボールに対し、メジャー球はツルツルした質感になっている。指に馴染みにくく、米国人の投手でさえ、スーパーグリップと呼ばれる粘着剤を付けたり、シェービング・クリームを指に塗り、ボールをフィットさせようとしている。過去、日本の投手も大半がこの滑るボールに苦労をさせられてきた。その中で先駆者、野茂英雄は「何も気になりませんね」と無関心だったが、それには理由があると感じている。

 このボールの特徴は、皮質が滑りやすい他にシーム(縫い目のヤマ)が高いので、フォークやチェンジアップなどの縦に落ちる変化球には有効となる。その反面、捻(ひね)りを加えるカーブやスライダーは多くの対応を強いられる。

 日本時代にスライダーを得意としていた長谷川滋利(元マリナーズ)は、「引退するまで自分のスライダーとは程遠いものだった」と語り、レッドソックスの松坂大輔は、「僕の中では今のスライダーは日本時代と全く別の球だと思っています」と語るほどだ。比較的、スライダーの適応が早かった斎藤隆でさえ、「最初は曲がりが大きすぎて使いものにならなかった」とこぼしていたが、ダルビッシュは会見でこう語った。

「ボールも違うと言われていますが、そこは大丈夫だと思います」

 WBCでの経験がこう言わせたのか、柔らかい独特の手首の使い方が効をそうしているのか。いずれにしろダルビッシュは、メジャー公式球に何の不安も持っていない。

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