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【夏の甲子園2026】「一番いいバッター」をなぜ2番に置く? 智辯和歌山、大分商、三重に見る、送りバントに頼らない攻撃戦略 (3ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Hideaki Ujihara

「うちのピッチャー陣の調子がそれほどよくなく、何点取られるかわからないのに、1点ずつ取ってもどうかなって思いました。それくらい大阪代表のチームは怖い。バントをしても点が取れない時は取れないので、確率的にはそれほど変わらないんじゃないかなと思います」

 三重の沖田展男監督はそう力説する。さらに2番・前野の起用については、長打力に加えて、もうひとつの狙いがあるという。

「(1番が出塁すると盗塁を警戒して)2番にはストレートが多くなってくる。それを狙ってくれたら、というのもあるんです。県大会ではそれでホームランを打っているので」

 前野は自らの役割について、次のように語る。

「うしろに信頼できる先輩がいるので、つないでいけたらと思っています。どちらかというと、自分は攻撃的な2番打者だと思っています。配球とかも読みやすくなったりするので、そこは強みになっています。ランナーを進めたいというのは、どのチームも同じだと思う。それがヒッティングなのか、バントになるのかの違いであって、バッティングでつながりを持たせていくのがうちの打線かなと思います」

【2番打者に映るチームの個性】

 高校野球は、無死一塁、または無死二塁の場面で2番打者を迎えると、送りバントを選択するケースが少なくない。

 だが今回紹介した3人の2番打者は打撃技術が高く、ヒッティングでも走者を進めることができる。送りバントでアウトをひとつ相手に与えるより、進塁打から適時打まで幅広い結果が期待できるというわけだ。

 送りバントで走者を進めるのか、それとも打たせて一気に得点を狙うのか。どちらが正解というわけではない。大切なのは、自分たちの戦力を見極め、どうすれば最も得点の可能性を高められるかを考えることだろう。

 大分商の平田、智辯和歌山の荒井、三重の前野。3人に共通するのは、「2番だから送る」という従来の役割に縛られず、打つことで打線をつないでいることだ。

 2番打者を見れば、そのチームの野球が見えてくる──。今大会を見ていると、そんな思いをあらためて強くする。送りバントか、ヒッティングか。その選択のひとつにも、指揮官が描く得点への道筋と、チームの個性がはっきりと表れている。

著者プロフィール

  • 氏原英明

    氏原英明 (うじはら・ひであき)

    1977年生まれ。大学を卒業後に地方新聞社勤務を経て2003年に独立。高校野球からプロ野球メジャーリーグまでを取材。取材した選手の成長を追い、日本の育成について考察。著書に『甲子園という病』(新潮新書)『アスリートたちの限界突破』(青志社)がある。音声アプリVoicyのパーソナリティ(https://voicy.jp/channel/2266/657968)をつとめ、パ・リーグ応援マガジン『PLジャーナル限界突パ』(https://www7.targma.jp/genkaitoppa/)を発行している

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