【夏の甲子園2026】「一番いいバッター」をなぜ2番に置く? 智辯和歌山、大分商、三重に見る、送りバントに頼らない攻撃戦略 (2ページ目)
仙台育英戦で4安打を放った智辯和歌山の2番・荒井優聖 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る 中谷監督は続ける。
「一塁に足の速いランナーがいると、そちらを警戒しながら、バッターにきっちりストライクを投げられる高校生のピッチャーはなかなかいません。荒井は四球も選べるバッターなので、無死一、二塁のチャンスをつくれる。実際、初回から点が入ることも多いですし、相手からすれば、2番にいいバッターがいるのは嫌だと思います」
中谷監督は比較的、手堅い策を用いる指揮官だ。それだけに、荒井を2番に据えているところに、今大会の智辯和歌山がこれまでとひと味違う攻撃を目指していることが見えてくる。
【強打の2番が生んだ履正社戦の初回3得点】
ベスト8に進出した三重も、2番に長打力のある前野元佑(げんすけ)を置いていた。初戦(2回戦)の松商学園(長野)戦、3回戦の履正社(大阪)戦では、ともに序盤から攻撃を仕掛け、そのリードを守りきって勝利した。
たとえば、三重と履正社との試合は、両チームのスタイルが対照的だった。
先攻の履正社は1回表、先頭の岩本倫之介が中前安打で出塁。続く2番・竿谷凛斗の送りバントが内野安打となり、無死一、二塁とチャンスを広げた。さらに3番・小杉悠人も送りバントを決めて一死二、三塁としたが、後続が倒れ、先制点を奪うことはできなかった。
一方の三重はその裏、先頭の水野央清が四球で出塁すると、2番・前野の左前安打で無死一、二塁とチャンスを広げる。さらに3番・秋山隼人・も四球を選んで無死満塁とすると、4番・福田篤史の打席で相手のけん制悪送球が飛び出し、1点を先制。なおも1死二、三塁から、5番・立松宗馬の投手強襲の適時打などで2点を加え、この回3点を奪った。
初回、手堅く走者を送った履正社に対し、三重は積極的に打って出て3点を先制した。両校の対照的な攻撃は興味深いものだった。三重はその勢いのまま2回までに5点を奪うと、そのリードを最後まで守って逃げきった。結果を見れば、序盤から攻める姿勢を貫いた三重の狙いが、見事に実を結んだ試合だったと言えるだろう。
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