検索

【夏の甲子園2026】横浜・村田浩明監督が説く「打ってから走るはナンセンス」 勝負を分ける「0.1秒」の走塁術 (4ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Hideaki Ujihara

【逆転を生んだ一瞬の判断】

 3回戦の霞ケ浦(茨城)戦でも、1点を追う6回表に横浜らしい好走塁が生まれた。二死満塁から9番・千島がライト前へ弾き返し、2者が生還。ここで目を引いたのが、二塁走者・田島陽翔の走塁だった。

 田島は、千島のバットがボールをとらえるのとほぼ同時にスタートを切っていた。まさに村田監督が語った「インパクトの前から走る」を体現する走塁で、悠々と本塁へ生還。田島の生還が逆転の得点となっただけに、その価値は高い。

 田島はこの走塁について、次のように語った。

「2アウトで2ストライクでした。打ったのはたぶんフォークだったと思うんですけど、ピッチャーが投げた瞬間、千島さんが沈んで打ちにいくのが見えたので、『バットに当たる』と思ってスタートを切りました。インパクト前にスタートを切ったわけではないと思うんですけど、頭のなかではそれくらい早く判断していました。0.1秒でも早くスタートを切ろうと。

 野球では、2アウト2ストライクでストライクゾーンに来たらスタートを切るという基本があります。当たり前のことをどこまで極められるかということをやってきたので、それがあの走塁に出たのかなと思います」

 横浜の走塁には迷いがない。それは、数多くの練習や試合経験を重ねるなかで、判断の基準が徹底して叩き込まれてきたからだ。川上が「体が勝手に動いた」と語ったのは、じつに興味深い。横浜が追求してきた走塁の意識が選手たちの体に染みつき、試合のなかで自然とプレーに表れているのだろう。

 頭で考えてから動くのではない。相手のわずかな隙を感じ取った瞬間、感覚的に「いける」と判断して体が動く。その一瞬の反応の速さが、相手をわずかに上回り、次の塁を奪うことにつながっている。

【村田監督が求める究極の領域】

 ただ、横浜が追求する走塁は、ここで終わらない。村田監督には、選手たちにもうひとつ求めていることがある。それは、いわば走塁における「究極」の領域とも言えるものだ。

4 / 5

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る