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【夏の甲子園2026】投手分業、DH制が当たり前の時代に「打って、投げて、走る」 鳴門渦潮・西村大輝という"絶滅危惧種" (3ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Tomohiro Motonaga

 チームにとって、西村は絶対的な存在だ。

「自分たちにとってはエースですし、本当に信頼できるバッターでもあります。西村の力がなければ、甲子園まで来ることはできませんでした。投げて、打って、本当に頼りになる存在です」

【エース級の投手をふたりつくるのは困難】

 鳴門渦潮を率いる森恭仁監督は、チーム事情についてこう明かす。

「『ピッチャーはひとりしかいない』と言われるかもしれませんが、なかなかエース級の投手をふたりつくることができないんですよ。ひとり育てるので精一杯で」

 鳴門渦潮にはスポーツ科学科があるとはいえ、県立校だけに、選手集めでは強豪私立のようにはいかない。

「2年生の有馬もいますけど、甲子園で投げさせるにはまだまだです。今日のような場面では、なかなか任せることができません。今日は西村が本当によく投げてくれました。いろいろな経験を積んで、タフになりましたね。本当に楽しそうに野球をやっていますよ。『自分で投げたい、打ちたい』という選手ですから。彼は本当に"野球小僧"ですよね」(森監督)

 投手の分業制が進み、DH制も導入された高校野球。その流れとは逆行するように、西村は投げて、打って、走る。誰よりも野球を楽しみ、誰よりもグラウンドに立ち続ける。そんな"絶滅危惧種"の野球小僧が、鳴門渦潮をどこまで勝ち上がらせるのか。次戦でも、西村はマウンドにも打席にも立つ。

著者プロフィール

  • 元永知宏

    元永知宏 (もとなが・ともひろ)

    1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長

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