【高校野球】7回制に大阪桐蔭・西谷浩一監督が突きつけた「NO」の重み 「誰にそんな権利があるんですか」 (4ページ目)
理由は、「高野連に睨まれたくない」ことだろう。加えて、主催者側との仕事上の関係などを考えると、公の場で強く反対の意思を示しにくい事情もある。最近では、「内々ではもう決まっているのでは」といった諦観(ていかん)や、「文科省から1試合2時間以内といった通達が出ているのではないか」といった憶測の声も耳にする。そうした状況のなかで、7回制に明確な反対を示した西谷の発言が、俄然注目を集めたわけだ。
スカウトを交えた雑談のなかでも、西谷は思いの丈を口にした。
「僕が7回制に反対すると、『いい選手がいるからだ』『私学だからだ』と言われることがありますが、そんな気持ちはまったくありません。ただ、野球を守りたい、子どもたちを守りたい、思いきり野球をさせてあげたい......その思いだけです。全国に約3700校あるなかで、半分は初戦で敗れます。その子たちは、やはり9回まで試合をしたいはずです。1打席でも多く打ちたい。本当はコールドもなく、最後までやりたい。その気持ちも考えてあげなければならないと思います」
西谷自身、高校時代(報徳学園)は部内の不祥事により、3年夏の県大会出場を辞退。最後は同級生たちとの紅白戦で、高校野球生活に幕を下ろしている。常に選手第一を貫く西谷の視線には、そうした苦い経験が重なっているのだろう。だからこそ、この問題に安易に頷くことはしない。
【甲子園以外での開催もやむを得ない】
現在、夏の甲子園では5回終了時に8分間のクーリングタイムを設け、ほかにもさまざまな工夫を凝らしてきた。ただ、主催側は試合時間がこれ以上長くなることをよしとしないのだろう。2024年夏の甲子園からは、試合時間を午前と夕方に分けて行なう二部制も試したが、課題も多く、最大1日4試合の進行が以前より厳しくなっていることに頭を悩ませる。7回制の移行には、選手や関係者らの健康面と運営の問題が密接に絡んでいる。
暑さ対策として多くの人が思い浮かべるのは、ドーム球場を活用した開催だろう。9回か7回かではなく、甲子園か、それ以外か。最も現実的な改革案だと思うが、この議論もなかなか深まってこない。もちろん、実現にはクリアすべき課題がいくつもあることは容易に想像がつく。だが、そこで知恵を絞るのが大人の役目のはず。西谷からも、ドームを含めた甲子園以外での開催案には、前向きな言葉が聞かれた。
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