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【高校野球】7回制に大阪桐蔭・西谷浩一監督が突きつけた「NO」の重み 「誰にそんな権利があるんですか」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【知らぬうちに進む改革】

 着地点を定めたうえで、議論を一気に前へ進めようとする意図が透けて見える。詳細は高野連の公式サイトでも確認でき、7回制を推進する理由が、さまざまな課題と結びつけて列挙されている。

<7イニング制を採用することにより、少数の部員で大会参加する出場校や連合チームで大会へ参加する出場校でも、試合後半に発生しやすい熱中症へのリスクを低減することが可能となり安全に大会へ参加することができる>

<教員の長時間労働を改善し、働き方を変えていくことが社会で叫ばれるようになって久しい。7イニング制の採用で試合時間が短縮されることが予測され、大会運営を担う都道府県高等学校野球連盟役員ならびに加盟校指導者の負担軽減が期待できる。また、練習試合の時間短縮により、休日の拘束時間の減少が期待できる>

 野球の骨格とも言える9イニング制を変更する理由としては、突っ込みどころ満載と言いたくなってしまうが、最後はこう結ばれている。

<2028年までに、加盟校や高校野球ファンに対して、7イニング制を採用する意図や有効性について説明を尽くし、広く周知することを求める。しかしながら、高校野球が直面する差し迫った課題の1つに、年々厳しさを増す全国高等学校選手権大会における熱中症対策があり、酷暑への対策は待ったなしの状況である。したがって、全国高等学校野球選手権大会においては、地方大会を含め可及的速やかに7イニング制の採用が望まれるとした>

 完全に決定事項を伝えている文面だ。結論ありき。イニングをイニングに、という重大なルール変更がいかにもあっさりと進められ過ぎてはいないか。

 当事者たちが多くを知らないまま、事態は静かに、着実に進められていた。これまで各高校の指導者と7回制について話してきたが、暑さ対策として一定の効果があるのではないか、公立校にとって勝機が広がるのではないか、といった部分的なメリットを挙げる声はあっても、明確に賛成する人はいなかった。一方で、取材やカメラの前で声高に反対を唱える指導者もほとんどいなかった。

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