【ドラフト】大阪桐蔭のキャプテンにしてエース、中野大虎が語る「阪神愛と燃え尽きた最後の夏」 (2ページ目)
「この1年はどうやってチームをつくっていくか、強くしていくか、100%そっちの頭だったんで、"投手・中野"は2年の夏が終わって一旦ストップでした」
昨年秋は近畿大会初戦で滋賀学園に敗れ選抜出場を逃し、今年春の近畿大会でも中野が先発した東洋大姫路戦で打ち込まれて完敗。そこから選手個々ともう一度向き合い、ミーティングも重ね、最後の夏に向かったが、決勝で東大阪大柏原に惜敗。
しかし、最大のライバルである履正社を準決勝で下した翌日の決勝は、"中野劇場"と評したくなるほど、中野らしさが詰まった一戦だった。
その履正社戦。中野は「ピッチャーとして持っているものを出し切ったという点では、3年間で一番のピッチングと言っていいかもしれないです」と語ったように、7回(コールド)1失点の完投勝利だった。
ストレートは右打者に対してはシュート気味に食い込み、左打者には外へ逃げていく。球速もコンスタントに145キロ前後を計測し、ネット裏で観戦していた石田寿也コーチの「回転数も一時より200くらい上がっています」の言葉に納得。指のかかりのよさを感じさせる良質のボールだった。
【主将としてエースとして大活躍】
7回、101球を投じた準決勝につづき、決勝でも7イニング、124球を投げた。試合後の中野は、まさに精魂尽き果てたといった姿で記者たちの前に現れたが、その消耗がピッチングによるものではないことは、グラウンドでの中野の動きを見ていれば一目瞭然だった。
試合前のキャッチボール、シートノックから動き回り、常に大きな声を飛ばし、試合が始まればきつい日差しを浴びながらベンチ最前列で声を張り上げる。攻撃時にはネクストバッターズサークルや打席の選手のもとに行ってアドバイスを送る。その回数は、確認した範囲でじつに7回。
さらに、イニング間にはレフトを守る須貝蒼のキャッチボール相手を務め、大阪桐蔭の攻撃が始まる前には、円陣を組み熱く気合を込めた。
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