【高校野球】女子マネージャーの涙の手紙が崩壊寸前のチームを救った 千葉商大付の復活ストーリー (3ページ目)
チームを陰で支える菅谷愛子さん(写真左)と鳥海菜々子さん photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る 雨の中で勝利に歓喜するチームを見て、鳥海さんは"大人マネージャー"として千葉商大付に関わってきた喜びが込み上げてきた。
「勝った瞬間は監督も泣いたし、私たちマネージャーも、選手も保護者もみんな泣いていました。『甲子園に行ったんじゃないか』って思うぐらいの勢いで大喜びして。あの県大会を決めたのは、愛子ちゃんの力だったのかなと思っています」
県大会は初戦で敗れたが、最後の夏に向けて、この春の戦いは大きな財産となった。
もともとプロ野球の球団職員になりたくて高校野球のマネージャーになった菅谷さんだが、新たな目標ができたという。
「看護師になりたいです。菜々子さんと話した選手がスッキリした顔になっている様子を見て、自分も頑張る人の支えになりたいと思うようになりました。その前に最後の夏は記録員として、できるだけいいスコアを書かせてほしいなと思います」
一方、"大人マネージャー"の鳥海さんは、高校生たちの少し先を見ている。
「毎日の当たり前がどれだけ幸せだったのかに気づくのって、引退してふとした時だと思います。その時、すごく幸せだったと思えるような高校野球であってほしい。高校野球が、これからの人生でこの子たちの糧になってくれたらうれしいな」
全国でも珍しい"大人マネージャー"の鳥海さんと、チームをひとりで支える時期も長かった高校生マネージャーの菅谷さん。さらに新しく入った1年生のマネージャーが野球部の力を底上げし、千葉商大付はひとつにまとまった。
チームは「千葉無敗」という目標を掲げ、最後の夏に挑む。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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