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「上智大に最速153キロの投手」スカウトも熱視線を送る正木悠馬の正体 上智大初のNPB選手となるか? (3ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu

 中学1年の時には身長が約150センチ、3年の時にようやく160センチを超えたくらいと成長が遅かったが、父・良太さんによると「それでも足は速かったですね」と身体能力の片鱗を見せていた。

 また「アメリカはいろんなポジションをやらせてくれるので、そこで初めてやったピッチャーが楽しかったんです。それで大学からは投手を本格的に始めました」と、その環境ゆえに投手というポジションに出会い、今につながることになる。

 父の帰国を機に、正木は上智大へ進学。「上下関係がない環境で育ってきたので、みんな仲が良い上智はやりやすかったです」と振り返るように、10人前後の同期と力を合わせ、実力を伸ばしていった。

上智大初のNPB選手を目指す正木悠馬 photo by Takagi Yu上智大初のNPB選手を目指す正木悠馬 photo by Takagi Yuこの記事に関連する写真を見る

【背番号21に込める思い】

 平日は東京・四谷キャンパスのグラウンドで練習するため、特に投手は自主性が求められる。正木は身体能力を高めるため、インターネットでトレーニング理論を学び、特にアメリカのトレーナーによるInstagramの情報を参考にした。

 その結果、体重80キロながら、デッドリフトでは240キロ(体重の3倍)を挙げられるまでに成長。ダッシュやボックスジャンプなどの瞬発系トレーニングも取り入れ、フォームは自分で撮影して研究を重ねた。

 身長179センチながらウィングスパン(両腕を左右に水平に広げた時の片方の腕の指先からもう片方の腕の指先までの長さ)は190センチ。長い腕を武器に、最終学年では球速150キロ台を連発し、「野球を続けたい」という想いが芽生えた。現在、就職活動はしておらず、NPB入りを第一志望に掲げ、すでに複数のスカウトが視察に訪れている。

 これまで上智大からNPBに進んだ選手はいないが、今季から独立リーグ・福島レッドホープスでプレーするユエン凱が「上智大初のプロ野球選手」だという(彼もカナダからの帰国子女)。

 一方で正木は、「初のNPB入りとなれたらうれしいですが、それはこれから次第。まだ全然、何も足りていません」と冷静に語る。「どこが足りない?」と問うと、「投手としての技術ですね。変化球のコントロールや、投球以外の部分も含めて」と、まっすぐな眼差しで答えた。

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