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新基準バット時代に40発の衝撃! 昌平高校・櫻井ユウヤは主砲として、主将として初の甲子園出場を目指す (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【憧れの甲子園へ、焦がれる想いと覚悟】

 櫻井の課題は守備面だったが、この冬場に徹底的に技術面から見直してきた。櫻井はその手応えを語る。

「昨夏はファーストだったのが悔しくて。将来のことを考えると、サードを守れないと厳しいと思って練習しました。岩崎先生から『きっかけをつかめ』と言ってもらって、グラブの捕球面をボールに向けるとか、基本的なことを何度もやってきました。スローイングはピッチャーをやらせてもらうなかで、だんだんよくなってきました」

 投手としても、最速140キロを計測するという。4月14日に行なわれた県大会の東部地区予選・獨協埼玉戦では、打っては2打数1安打2四死球1盗塁を記録。守っては三遊間寄りのゴロを流れるような動きで処理するなど、3本の三塁ゴロをさばいた。チームは7対0(8回コールド)で勝利し、県大会進出を決めている。

 チーム内には東川一真というドラフト候補もいる。身長193センチ、体重97キロの巨体だが、身長の伸びはまだ止まっていないという。筋力的に未成熟にもかかわらず、最速144キロを計測。それでいて制球力が高く、ゲームメイク能力が高い点をスカウト陣から評価されている。

 櫻井は「東川とは一番仲がいいので、一緒にプロに行きたいです」と語った。

 今春のセンバツで浦和実がベスト4と躍進した話題を振ると、櫻井は焦れたような笑顔でこう語った。

「出たくて出たくて、しょうがないんですよ、甲子園。浦実がうらやましかったですね。去年の夏が終わってキャプテンに任命されて、『このままじゃダメだ』と思って、自分のことだけじゃなくチームのことを考えるようになりました。甲子園は夢なんで、なんとかチームとして行きたいですね」

 昌平にとっては、春夏通じて初の甲子園まであと一歩に迫る時期が続いている。悲願の聖地にたどり着けるかどうかは、櫻井ユウヤという逸材がカギを握っている。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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