新基準バット時代に40発の衝撃! 昌平高校・櫻井ユウヤは主砲として、主将として初の甲子園出場を目指す (2ページ目)
それでも、新基準バットで積み上げた櫻井の「40本」には価値がある。櫻井はこう言ってのけた。
「新基準バットになって、こすった当たりのホームランが減りました。でも、しっかりととらえれば、打球の速さは変わらないです。ごまかしがきかないので、新基準バットのおかげでたくさん練習できます」
【中1で見せた驚愕の飛距離】
筆者が櫻井を初めて見たのは、今から4年前の春先だった。当時、櫻井は硬式クラブ・日光ヤングスワローズ(栃木)に所属する中学1年生。タイ国籍の両親を持ち、身長174センチ、体重89キロのガッチリとした体形だった。竹バットでロングティーをすると、91メートルのフェンスを越える打球を連発。最長で115メートルほども飛ばすと聞き、強い衝撃を受けた。
その後、櫻井は埼玉の強豪・昌平に進学する。スカウトを受けたわけではなく、「自分の行きたい学校を選ぼう」と学校側に自らコンタクトを取ったのだという。
「プロに行くことが絶対だと考えていました。あとは甲子園に行ける可能性があって、1年生からでも試合に出られるかもしれないチームで、練習の雰囲気がすごくいい昌平に『行きたい』と思いました」
櫻井は1年時からレギュラーとして起用され、ステップを踏んでいる。昌平の岩崎優一監督は、櫻井の資質をこう評する。
「スラッガーとしてもともとすばらしい才能を持っていましたが、1年時は粗削りで穴の大きなバッターでした。今はスイングや思考面で成長して、2ストライクと追い込まれてからでも四球を取れるなどスキがなくなってきました。高校野球で結果を出したいと思うと、どうしてもバッティングが小さくなってしまうところがあります。彼には上の世界で頑張ってもらいたいので、しっかりとスイングするよう伝えてきました」
岩崎監督自身、身長185センチの巨体で、社会人の強豪・三菱重工名古屋で活躍した右の長距離砲である。
近年のアマ球界では、バットが下から出てくるスイング軌道のスラッガーが目立つ。だが、櫻井は上から叩くでも下からかち上げるでもなく、レベルの軌道でバットが出てくる。大きなアクションをとることもなく、ごくシンプルなフォームという印象を受ける。岩崎監督に聞くと、こんな反応が返ってきた。
「選手には『いかにレベルで振れるかが大事だよ』と伝えています。上の世界を見ても、成功している選手は結局シンプルなバッティングをしていますよね」
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