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【大学野球】ドラフト指名漏れから2年、真鍋慧の今 過去も未来も興味なし「もっとやります」に込めた思い (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 大阪商業大が8対2で勝利した試合後、真鍋の話を聞こうとダッグアウト裏に向かった。真鍋は大阪商業大の富山陽一監督から厳しいひと言を浴びていた。

「センター、クビや」

 もちろん、真鍋の奮起を促すための言葉なのは明白だった。これまで大阪商業大の厳しい環境のもとで渡部聖弥(西武)など、数多くの選手がプロ球界へと巣立っている。

【一番しっくりくる打ち方で】

 富山監督は報道陣の前で、真鍋を擁護するようにこう語った。

「リーグ戦前のオープン戦で、右の肩甲骨にデッドボールを受けているんです。だから、打つ時にちょっと引っかかる感じがあるみたいで。でも、来週あたりにはよくなると思いますよ。ポジションは明日からファーストです。あの子に期待しているのはバッティングやし、慣れたポジションで100パーセントの力を出させてやりたい。ファーストなら高いボールも捕ってくれる(真鍋は身長190センチ)から」

 続いて、真鍋本人にも話を聞いてみた。まず、試合中にタイミングの取り方を変えたことについて聞くと、真鍋は淡々と語り始めた。

「最初はノーステップでいったんですけど、なんかタイミングが合ってないと感じたので、すり足ぎみに変えました。もともとはすり足でやっていたので。ノーステップは最近、取り組んでいたんです。自分は前足が崩れてしまうクセがあるので、軸で回って頭を残すために練習していました」

 大谷の影響を受けたのか? と聞くと、真鍋は「意識はしていません」と答えた。今後は「時と場合によってタイミングの取り方を変えていく」方針だという。

 この1年間で頻繁に打撃フォームが変わっていることについても、真鍋は表情を変えずにこう答えた。

「その時の自分の一番しっくりくる打ち方で変えていっています」

 野球選手は繊細な生き物だ。バットの長さが数ミリ変わっただけで、打撃を崩してしまう打者だっている。変化することで、自分の持ち味が損なわれる恐怖はないのか。そう尋ねると、真鍋は決然とこう答えた。

「自分がいい方向にいくと思ってやっているので、怖いとは思いません」

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