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佐々木麟太郎の初ホームランにチームメイトが歓喜 充実のスタンフォード大学生活 (2ページ目)

  • 山脇明子●取材・文 text by Yamawaki Akiko

【「最優先は本塁打よりチームの勝利」】

チームの勝利優先のマインドのなかで本塁打を狙うという佐々木 photo by Bob Drebin/ISI Photoチームの勝利優先のマインドのなかで本塁打を狙うという佐々木 photo by Bob Drebin/ISI Photoこの記事に関連する写真を見る 日本の野球のレベルがどれだけ高いかは、30年前の1995年に野茂英雄がメジャーリーグデビューして以来、アメリカの野球ファンであれば、誰もが周知のことだ。それが、日本の高校通算最多とされる140本塁打を放った類い稀な選手が、日本のプロ野球ドラフト上位指名候補と言われていたにもかかわらず、その進路を選択せずにアメリカの大学に来たのだ。

 日本から離れたアメリカといえども、佐々木はシーズン前から各メディアでスタンフォード大が所属するアトランティックコースト・カンファレンス(ACC)の新人王(フレッシュマン・オブ・ザ・イヤー)と予想されるなど、本人にかかる期待は計り知れない。

 ホームラン性の当たりを放ちながら、なかなか一発が出なかった間、佐々木にアメリカでもガンガン本塁打を打つこだわりはあるか? と問うと、「もちろん、そうですね」と答え、次のような心境を話してくれた。

「今は出ていないですけど、まだ1年生ですし、ここでプレーすることが終わるわけじゃありません。やっぱり最優先は、ホームランを打つことより、まずチームの勝ちにどう貢献するかということ。それがホームランになっていればすばらしいことですし、まずは焦らずにやっていければ。

 一番大事なことは、どれだけ安定して、質のよい結果を残していくか。そのなかで長打を期待できればいいなというふうに思っています。

 まあ、焦りたいところなんですけど、ただ焦るとよくないと思っているので、こういう長いシーズン、ちょっとずついい形に持っていければ。そこを目指していきたいです」

 D1のレギュラーシーズンは、2月半ばから5月半ばまで最多で56試合。ポストシーズンでカレッジ・ワールドシリーズに進出し、決勝まで勝ち進めば6月後半まで続く。シーズンを通していかに安定したプレーができるか。それがチームのためとなり、自らの成長につながってくる。

 初本塁打を打った試合後も佐々木は、「自分のことは話したくありません」と自らの話はしたがらず、「まずはチームが勝てたことがうれしい」と強調していた。

「佐々木麟太郎」という名の代名詞でもある「ホームラン」はどんどん打っていける選手になっていきたいが、「勝利」という結果がなければ、それは佐々木のなかで大きな意味を持つものではないのだろう。

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