【選抜高校野球】花巻東・佐々木洋監督が挑む低反発バット時代の打撃改革「振りきることで技術が上がる」 (3ページ目)
米子松蔭戦の試合後、佐々木監督に「野球観が変わったのではないか」という趣旨の質問が飛んだ。佐々木監督はそれを認めつつ、こう答えている。
「アメリカの野球が身近なものになって、アメリカではOPS(出塁率+長打率)という指標がチームの勝利につながるものとして評価されていると知りました。三振が多くても、ホームランが多ければ勝利につながりやすいというデータも出ていると。そうした考えに私もなってきているところはあります。もちろん、しっかりとした戦術でも点数を取れるようにしたいですけどね」
守備型のチームが悪い、攻撃型のチームが正しいという話ではない。さまざまなチームが存在するからこそ、高校野球は面白い。守備にフォーカスするチームが多いなか、花巻東のような哲学を持ったチームが出現することも、高校野球界の懐の深さを感じずにはいられない。
次戦(3月23日)の二松学舎大付(東京)戦への抱負を聞かれた、佐々木監督は「いいピッチャーなので、ロースコアの展開に持ち込めるように頑張りたい」と語っている。OPSを重視する佐々木監督であっても、打撃力だけで全国の頂点に登り詰めることは難しいと考えているはずだ。
好投手を複数擁する二松学舎大付を相手に、花巻東打線はどんな打撃を見せるのか。そのひと振り、ひと振りには未来への希望が詰まっている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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