検索

沖縄尚学・比嘉公也監督を直撃 「エナジックやKBCといった野球強化に取り組む新鋭校をどう思うか?」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 選択肢の多様化が進む現在、沖縄県内の野球少年たちに最も人気なのが沖縄尚学だ。入部を希望する中学生に対し、比嘉監督は必ず伝えることがある。「勉強を疎かにしたら、野球はできないよ」ということだ。

 特進クラスのように共通テストで高得点を目指すような授業内容ではないが、スポーツクラスも学業との両立を掲げている。英語検定も最低準二級を目指そうという方針だ。

 もしテストで合格点に達しなければ、部活の時間に草抜きをさせる。一緒に行なう比嘉監督が特に何かを言うわけではないが、そうした時間に意味を持たせようとしている。

「周りが声を出して一生懸命練習しているなか、ポツンと草抜きをしている。『なんで自分はこうなっているんだ?』という振り返りというか......自分のとっている行動や授業中のあり方とか、そういった部分を感じてほしい」

 大事な野球の時間が削られるのは、部員たちにとって大きな痛手だ。沖尚で野球をする以上、自分でそう気づけることが重要になる。

【勧誘してもレギュラー確定ではない】

 一方、「将来、数学の先生になりたいという夢を持っています」という入学希望者には、「ウチじゃないほうがいいよ」と正直に伝える。沖尚に来る選手たちは野球にかける思いが周囲より強く、ミスマッチが起きてほしくないからだ。

「島袋洋奨(興南コーチ)とも『あそこの中学校にいい子がいるらしいよ』と話すんです。隠すとかはありません。県外の子が見学に来たら、『○○君、いいらしいね』とか。声がかかったら、行くのはその子の自由なので。そのなかでウチを選んでくれたらいい。そういう形がお互いにとっていいと思っています」

 選手のなかには、「沖尚から声がかかったから、来てやった」という雰囲気を醸し出すケースもあるという。

「だから声をかける時、『僕が声をかけたからといって、レギュラー確定じゃないよ』と必ず伝えます。声がかかったから、試合に出られると思ったら大間違いです。人には成長の差があるので。自分の意思で一般受験を受けて来た子が伸びてくるなんて、ざらにあります。『来てやった』という子は、いろんな面で越されちゃうよと思いますね」

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る