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沖縄尚学・比嘉公也監督を直撃 「エナジックやKBCといった野球強化に取り組む新鋭校をどう思うか?」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 沖縄尚学に憧れる野球少年が多いのは、大きく成長していく先輩が多いからだろう。2008年のセンバツで優勝に導いた東浜巨を筆頭に、嶺井博希、リチャード(いずれもソフトバンク)、與座海人(西武)、岡留英貴(阪神)、仲田侑仁(広島)らがプロの世界に巣立った。

 リチャードと仲田を除き、上記の4人は大学経由でプロに進んだ。沖縄尚学にやって来る野球部員の多くは、進学を見据えている。2025年の卒業生は、23人のうち20人が大学、2人が専門学校、1人が就職の道を選んだ。

 進学先で人気なのは東都大学リーグだが、昨今、変化が生まれている。比嘉監督が説明する。

「いわゆる名前の通っている大学以外にも目を向けて、そこで試合に出て活躍し、自分の人生につなげていくという子も増えていますよね。そこからプロ、社会人に行ければバンザイだと思うので」

 そのモデルケースが、西武で2022年に10勝を挙げた與座だ。沖尚時代は3、4番手の投手で、敗戦が近くなったら投手に代打を送り、「おまえ、行け!」という立ち位置だった。

 與座家の3兄弟はいずれも沖尚に来たが、三男の海人は能力的に最も低かった。入学当初は上投げだったが、同タイプばかりいるチームのなかでかすみ、サイドスローに下げることで何とか自分の価値を見出そうとした。

 高校時代は花開かなかったものの、岐阜経済大学に進んでアンダースローに下げると、独特の軌道を武器に躍進する。そしてプロへの道を切り開き、2ケタ勝利を飾るまでになった。

「高校時代から、今の姿は全然想像つかないですね。だから子どもたちに言います。『周りよりちょっと成長が遅くて、高校野球では芽が出なかったかもしれないけど、考え方や自分の努力によって、のちにうまくいくこともある』って。阪神にお世話になっている岡留も、高校ではエースではありませんでした。あいつも大学で腕の出どころを変えてから、バッターが嫌がるボールになったんだと思います」

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