福岡発・アマ野球の新時代! 高校、大学、社会人の3団体が初の交流戦で描く未来 (2ページ目)
まず、福岡県下の130校を超える高校から、交流戦のためだけに選抜チームをつくることが難しかった。それならばと2020年、地元の強豪である筑陽学園(太宰府市)のみの単独チーム、九州六大学選抜、福岡県社会人選抜で交流戦の開催決定までこぎつけたが、コロナ禍であえなく中止となった。
そしてコロナ禍が明けた昨年、あらためて3団体の選抜チームを揃えて開催に動いたが、高校側の準備が間に合わず、九州六大学選抜と社会人選抜の1試合を行なったのみだった。
福岡県高野連の吉岡徹郎理事長は「どういう手続きが必要なのかも含めて調整に時間がかかりました」と経緯を説明する。
開催日の調整も簡単ではない。開催月は、3団体が本格的なシーズンオフに突入する前の11月がベスト。社会人は日本選手権後、大学、高校は神宮大会前の数少ない土日のなかから、日程をすり合わせていった。
福岡県高校選抜対九州六大学1年生選抜のワンシーン photo by Uchida Katsuharuこの記事に関連する写真を見る
【構想から6年でついに実現】
そして11月10日。構想から6年の時を経て、3団体の交流戦は、ようやく実現の時を迎えた。高校側の受け入れ態勢がタイミングよく整ったことも、開催のあと押しとなった。吉岡理事長が続ける。
「12月に県の選抜チームが、福岡県スポーツ局の事業としてオーストラリアに遠征して試合をします。それと合わせた形で、選抜メンバーを編成するという手続きができました」
第1試合、福岡県高校選抜は、東監督が率いる九州六大学1年生選抜と7回制で対戦。初回に1点を先制したが、その後は九州六大学1年生選抜のペースで試合が進み、1対7であえなく逆転負けとなった。
野手陣は大学生投手の前に、わずか2安打に抑え込まれた。「1番・遊撃」で6回に右前打を放った尾辻佑晟(ゆうせい/修猷館2年)内野手は「本当にいい機会をもらえました。大学の先発の方は伸び上がるような球を投げていて、初めて見ました」と驚けば、「3番・中堅」で無安打に終わった市川大智(東筑2年)外野手も「東筑にも140キロを投げる投手はいますが、同じ140キロでも球の質が全然違いました」と目を丸くする。
ただ、勝敗以上に得ることのほうが大きかった。高校選抜を率いた益田和毅監督(嘉穂東監督)は、ベンチで「こんな経験は二度とないぞ! 打たれてもフォアボールを出しても明るくいけ」と声を張り上げ、投手陣を送り出した。
5番手で登板した木村洸士郎(田川2年)投手は、最速140キロの直球を主体に、打者6人を相手に3三振を奪った。「もう少しやれるかなという感じもありましたが、85点はつけられると思います。自分の力が少しでも通用するかなという自信になりました」と胸を張った。
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