【ドラフト2024】猛アピールで運命の日を待つ ファーム新球団・オイシックス新潟アルビレックスBCの4人 (3ページ目)

  • 高木遊● text by Takagi Yu

 そういう意味で、「大化け」の予感を漂わせているのが、新潟医療福祉大出身の1年目左腕・目黒宏也だ。「だんだんと出力が下がって、ストレートで押せなくなっていました」と振り返ったように、今季は4勝7敗、防御率5.75と成績は残せなかった。

 しかし9月10日の楽天戦で中継ぎとして登板すると、自己最速となる150キロを記録。また橋上監督が「スライダーの回転数の数値が抜群によかったそうです」と話すように、武田勝コーチに指導を受けている変化球でも、大きな可能性を感じさせた。

 さらに、野間口貴彦ヘッドコーチからの「2球以内に(最低でも)1ボール1ストライクのカウントをつくって、自分のペースで投げるように」という教えのもと、ストライク先行の投球スタイルで、持ち味を伸ばそうと励んでいる。

 先述の楽天戦では3イニングで59球を投げたが、それから中3日の9月14日の巨人戦では、3842人の観衆の前で先発。2回に二死から増田陸に3ランを浴びるなど、5回4失点で敗戦投手。それでもボール自体はすばらしく、ストレートも140キロ台後半をコンスタントにマーク。まだまだ課題は多いが、きっかけひとつで、ストレートを中心に打者をねじ伏せる"速球派リリーバー"の未来像も見えてくる。

 生まれも育ちも、これまで所属したチームもすべて新潟で、降雪の多い冬場は毎年のように地道なトレーニングに励んできた。その成果が実り、「純新潟産左腕」がNPBの世界で羽ばたくかもしれない。

 年間を通して戦うなかで、橋上監督は「春先に比べると、投打ともに相手のスピードに対して対応力が上がりました」と、選手たちの成長を感じている。新たな種まきをした1年目の秋に、はたしてどんな収穫が得られるのか。その結果が表れるのは、もうすぐだ。

著者プロフィール

  • 高木 遊

    高木 遊 (たかぎ・ゆう)

    1988年生まれ、東京都出身。大学卒業後にライター活動を開始し、学童・中学・高校・大学・社会人・女子から世代別の侍ジャパン、侍ジャパントップチームまでプロアマ問わず幅広く野球を中心に取材。書籍『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方〜氷点下20℃の北の最果てから16人がNPBへ〜』(樋越勉著・日本文芸社)『レミたんのポジティブ思考"逃げられない"な"楽しめ"ばいい!』(土井レミイ杏利著・日本文芸社)『野球で人生は変えられる〜明秀日立・金沢成奉監督の指導論(金沢成奉著・日本文芸社)では、編集・構成を担当している。

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