大阪桐蔭は本当に優勝候補なのか? 大阪大会序盤のらしくない戦いぶりと履正社戦圧勝とのギャップ (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【エースと4番の復調はあるか?】

 この先、束になって戦うチームをイメージした時に欠くことができないのがエースと4番だ。

 決勝戦のあと、閉会式が終わるとベンチ裏で囲み取材が始まった。西谷監督や森に多くの記者が集まり、チームの主力である徳丸快晴、境亮陽、吉田、さらには主将の宮本真司郎たちが質問を受ける。

 そんななか、平嶋桂知とラマル・ギービン・ラタナヤケはそこから少し離れたところで、ほかの控えメンバーらと早々にユニフォームからTシャツに着替え始めていた。

 自分が活躍しなくても甲子園出場を決めたチームを、エースと4番はどんな気持ちで見ているのかと、あらためて大阪桐蔭で野球をすることの過酷さを見たような気がした。

 ラマルは3回戦の枚方なぎさ戦で2打数2三振。守っても一塁ファウルフライを落球するなど、攻守に精彩を欠き、4回戦(城東工科)からスタメン落ち。ちなみに、この試合の最後に代打で登場し、記録上はサヨナラヒットを放ったラマルだが、打球は二塁後方へのフライを相手野手が捕球し損ねたもので、気分が晴れる一打ではなかった。

 一方、平嶋もこの4回戦の最後に、森のあとを受けて今夏初登板。1イニングを無難に抑えたが、起用のされ方を含め、まだまだ本調子でないのは一目瞭然。

 この試合のあと、記者がばらけたところで西谷監督に声をかけると、苦笑いとともに「察してください」といった調子で、ひと言返ってきた。

「1番と4番がこの感じなんでしんどいです」

 つまり背番号1の平嶋と、4番を担っていたラマルの状態の悪さを嘆いていた。

 その後、ラマルは準々決勝で代打ホームランを放ち話題になったが、打席はそれが最後。準決勝、決勝の出番はなく、大阪大会の通算成績は4試合の出場で7打数2安打。勝負強い打席に、守りでも安定感のある内山彰梧が好調なだけに、出場機会を得るのは容易ではない。

 今年の大阪桐蔭打線は上位に左打者が並ぶため、右打者のラマルは左投手相手に結果を残し、どこまで出場機会を増やしていけるか。

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