大阪桐蔭は本当に優勝候補なのか? 大阪大会序盤のらしくない戦いぶりと履正社戦圧勝とのギャップ (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

「たしかに戦力的には3枚も上で、とくに投手はえげつない。でも大会のなかで、5、6人の投手を使う難しさが出てくるのではないか」

「バットが変わって、一番影響が出るのは大阪桐蔭じゃないですかね。僅差のゲームが増えれば、いくらでも勝つチャンスが出てくる」

「例年の桐蔭の何が強いかと言えば、あの守備です。それが今年は、守りに隙を感じます。去年の神宮大会、今年のセンバツ、今年春の大阪大会で大阪学院大に負けた時も守りのミスからでしょ」

 近大付の藤本博国監督は「大阪で、本気で甲子園を狙っているチームなら、今年はチャンスがあると思っているはずです」と語っていたほどである。

 実際、大会序盤の大阪桐蔭には「どうにもならない」といった絶対的に強さを感じなかった。終わってみればワンサイドの結果でも、110キロ台のサイドハンド右腕や、超軟投派の左腕を攻めあぐね、フェンス際で失速してしまう打球もしばしば。たたみかける攻めも少なく、相手なりに戦うといった印象だった。

 5回戦の大商大堺戦でも試合中盤に追い上げを許し、近年力をつけてきた早稲田摂陵との準々決勝も7対3。試合直後、たまたま顔を合わせた大阪桐蔭の橋本翔太郎コーチに「(準決勝は)五分五分じゃないですか」と言ったが、本心では履正社優位と見ていた。

【履正社に引き出された大阪桐蔭の底力】

 試合は初回、履正社が得意の足を絡め2点を先制。昨年、24年ぶりに夏の大阪大会で大阪桐蔭との直接対決に勝利し、優勝した履正社が今年も連破するようなら勢力図も変わってしまうのか......そんな想像まで膨らんだが、すぐに10年以上も高校球界のトップを走り続けてきた王者の底力を見せつけ、結果は冒頭で記したとおりだ。

 それまで力のない凡フライや投球に合わせたようなスイングが目立っていたが、履正社との試合ではそれまでとは別人のバッティングを披露。低い弾道で、11安打中8本がセンターから逆方向。チームとしての強い意思が見えた。

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