プロか漁師か...投手経験半年で150キロ到達の紋別高・池田悠真が悩める胸中を吐露 (3ページ目)
オホーツクの大海を眺め、真冬には流氷がビッシリと海を埋め尽くす大自然に鍛えられて育った18年間。彼のなかの"すごさ"の単位が、我々と違うのかもしれない。
「ほんとは真っすぐより、変化球のほうが得意っていうか......投げやすいんです」
いつの間に覚えたのか、速球以外の持ち球が5種類。パワーカーブ、スライダー、ツーシーム、カットボールにフォークボール。
【三振とれたらラッキー!】
守備練習に続いて行なわれたシートバッティング。実戦形式のバッティング練習で、投手・池田はそのすべてを使ってみせた。
「いちばんの武器はスライダーだと思っているんですけど、その日の調子を測るのはフォーク。自分の場合、フォークが決まっている日は、体も開いていないし、リリースも安定しています」
フォークの握りを見せてもらったら、中指と人差し指が70度は開いていた。
「(地球儀にたとえたら)赤道の位置で挟んで、第一関節を立てて、リリースでガッと押し込む感じで。落差もスピードもある本物のフォークを目指してます!」
シートバッティングのおよそ50球。翌日の練習試合でも、先発して中盤まで投げる予定なのに、見たところ力をセーブするでもなく、渾身の奮投でチームメイトのスイングを圧倒していく。目測で、おそらくアベレージ145キロ前後。
強烈な速球が激しく動いた時は、いつもバッテリーを組んでいるレギュラー捕手もミットの芯で捕球できない。右打者の膝元に沈み込むツーシームでも140キロ前後。スライダーの動きも大きく速い。
「マウンドに上がっている時は、バッターをねじ伏せようっていうより、自分の本来のフォームでしっかり投げることを最優先に考えています。自分、もともとコントロール悪かったんですけど、そこを大事にするようになって、こうやってちょっと投げられるようになったんです。三振をとるよりなるべく球数を少なく、打たせるピッチング。『三振とれたらラッキー!』くらいの感覚です」
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