慶應のエンジョイ・ベースボールは「言葉が独り歩きしている」 甲子園ベスト8の名主将は野球教室でどう説明しているのか (3ページ目)
【"真面目なだけじゃ勝てない"恩師の教え】
ーー慶應のスタイルをとる学校も増えていると感じます。
自主性はすごく大事で、とくに指導者の選手への接し方が難しくなっている時代だからこそ、選手自身がきちんと自分の考えをもってやるというのは必要なことじゃないですかね。
ーー選手への言葉かけも大事になりますが、当時の上田監督は「好きならうまくなるよう努力しよう」「泥臭い野球をカッコよくやろうぜ」など、表現がユニークで絶妙でした。
上田さんはとにかく表現力がすごい。人の心をちょっとくすぐるような言葉を投げかけて、そうすると選手も自然とできるかもしれないと思うようになるんです。大久保監督もですが、ふたりとも人として最高におもしろい。「真面目なだけじゃ勝てね〜んだよ」とか言ってユーモア、遊び心があるんです。たくさんの人から愛される存在で、僕も大きな影響を受けました。
でも大久保監督は、「慶應の考え方がすべてではない、勘違いするな」とも言っておられて、みんな違う環境で野球をやってきているのだから自分の考えが当たり前と思ったらダメだぞ、と。いろいろなやり方があって当然で、僕も大学時代は、まったく違う考え方で野球をやってきた選手の姿をむしろ新鮮な目で見ていました。広い視野で捉えることが大切ですね。
ENEOSとどろきグラウンドにて 撮影/村上庄吾
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