「これがプロで活躍する選手だ」学生時代の吉田正尚の技術に驚愕 社会人野球のレジェンドが引退「まさかここまで長く野球をやれるとは」 (3ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika

【いい場面に立たせてもらう運があった】

ーー新人として都市対抗に出場し、初戦(対NTT西日本)で6回二死満塁のチャンスで同点に追いつく二塁打を放ちました。その後も値千金の一打を数多く打ち、クラッチヒッターとの異名で勝負強さが光りました。

 1年目のそのシーンは思い出のひとつです。スタメンで使っていただき、延長でサヨナラ勝ちする試合。監督の期待に応えられ、自分のその先の社会人野球人生に強い影響を与えた一打でした。

 結果が出せているといっても、その分、失敗も数多くしています。毎回うまくいくわけじゃない。ただ、いい場面に多く立たせてもらえたという運はあったと思います。強いて言うなら僕は試合中、この先こうくるんじゃないか、こうなるだろうという予測をイメージしながらプレーしてきました。それがハマると気持ちもぐっと入るのでうまくいくことが多かったですね。

 2021年の都市対抗西関東予選、代表決定戦の東芝戦で、9回二死からライトスタンドへのサヨナラ3ランを打った時がそんな流れでした。「錬が打てば勝てる」と大久保(秀昭)監督から檄(げき)を飛ばされていたので、チームの期待に応えることができたのが何よりうれしかったです。

社会人1年目から活躍を見せた山﨑 撮影/浅田哲生社会人1年目から活躍を見せた山﨑 撮影/浅田哲生ーー大久保監督のもとで野球をやりたいとENEOSに入社し、途中、大久保監督が母校の慶應大に移った間、チームが低迷。でも2020年に復帰し、3年計画で立て直すという公言どおり、2022年に都市対抗優勝を果たしました。

 もう一度大久保監督と野球をやれた、それはとても大きかったですね。監督には本当にいろいろなことを教えていただいて、グラウンドでどう振る舞うべきか、どういう人間が多くの人を惹きつけるか、そして毎日の生活の仕方など細かなことも教えていただき感謝しています。

恩師の大久保秀昭監督(右)は「(山﨑)錬はプレーからは思いが伝わってくる選手。まさにチームの顔でした」と話す 撮影/村上庄吾恩師の大久保秀昭監督(右)は「(山﨑)錬はプレーからは思いが伝わってくる選手。まさにチームの顔でした」と話す 撮影/村上庄吾

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